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「あの…!」
1か月程経った頃、
聞き慣れない声に呼び止められた。
振り返るとあの夜の少年のように思えた。
あまりに泣くから顔がぐちゃぐちゃで覚えていなかったけど…
『今日は泣いてない…?』
「…!
もう忘れてください…」
声を掛けると
顔を真っ赤にして、はにかんだ。
その日、彼がヒョンジンという2個下の男の子と知った。
そして、JYPの練習生ということも。
毎週、約束をしているわけではないけど、
申し合わせるように週の半ばに公園で会うようになった。
泣いていることもあれば、
月末評価で上手くいったと顔をくしゃくしゃにして笑っている日もあった。
表情豊かな彼は落ち込むことはあれど、
夢を決して諦めることはなかった。
1度見せてもらったダンスは、何が凡人なのかと心底驚いた。
幼なじみがダンスを得意としているけれど、
また別の魅力のある表現だった。
踊っている彼の表情や命を削っているような舞いは何かに憑りつかれているようで、
ゾッとするのに、目が離せず、心が震えた。
あまりにきれいなその姿に、
涙を溢すと、嬉しそうに目を細め、そっと口づけをされた。
この日を境に、私たちは付き合うことになった。
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作者名:チビ丸 | 作成日時:2023年11月14日 18時