story ５５ ページ5
カルカロフ「バーテミウス・クラウチ！」
皆が息を呑んだ。
カルカロフはさらに口角を上げ、クラウチ氏をどん底に突き落とす言葉を放った。
カルカロフ「ジュニア...！！！」
ハリーはロディアーナに再び目を向けた。
ロディアーナ「バーティ...？」
バーテミウスは気まずそうに、ロディアーナから目を離した。
と同時に、バーテミウスは階段を駆け下り、出口へと向かう。
が、その途中、ムーディが放った呪文によってバランスを崩し、高々な資料を倒しながら倒れて行った。
魔法省の者がバーテミウスを乱暴に抑える。
そして、彼の父親であるクラウチ氏に突き出されたのだ。
バーテミウス「やあ、父さん...」
バーテミウスがにやにやと笑いながらそう言った。
クラウチ「...貴様など私の息子ではない」
クラウチ氏は、表情を変えないまま、冷酷にそう言った。
ロディアーナ「嘘よ！！」
ロディアーナの叫びが響き渡った。
クラウチ親子が彼女に目を向ける。
ロディアーナ「何年も潜入捜査を続けていたけどバーティの姿は一度も見ていないわ！」
ロディアーナがバーテミウスの肩を掴む。
ロディアーナ「違うわよね？貴方は優しいもの...あんな惨いところになんて...」
バーテミウス「ロディアーナ先輩」
バーテミウスが口を開く。
その瞬間
ダンブルドア「もう良いじゃろう」
ハリーはダンブルドアに手を引かれ、すぅっと上を上がるような感覚に浸った。
目の前には水盆。
まだ微かに、法廷の景色が浮かんでいる。
ハリー「校長先生！」
ハリーが我に返る。
ハリー「ごめんなさい。いけないことをしたというのは分かっています。でも、でもわざとじゃないんです。戸棚が少し開いていたもので＿＿＿」
ダンブルドア「分かっておる」
ダンブルドアは水盆から、白い糸のようなものを救い取り、手に持っていた小瓶の中に入れた。
ハリー「それは...なんですか？」
ダンブルドア「ペンシーブ、憂いの篩じゃ」
ハリー「憂い...？」
ダンブルドア「頭がいっぱいになってしまった時、過去を確認したい時、わしらはこれを使って憂いを吟味する時があってのう」
ハリー「それじゃ...それは校長先生のですか？」
ダンブルドア「いや、違う。ロディアーナ先生のじゃ」
ハリー「...ベテルギウスが...死んだ後のことですか？」
ダンブルドア「...そうじゃ」
ハリーは過去のロディアーナのあの顔を思い出し、胸が締め付けられた。
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作者名：そう | 作成日時：2021年9月20日 11時
