…police ページ8
「あいつ全然こねーのな。」
「あいつって…もしかしてAちゃんのこと?」
「そーそ。一応一課で雇ってるみてーなかんじだから目暮警部も心配してるっぽいんだよ。」
「なるほどねぇ。
ま、接した感じ無断でどっかいくような子じゃないと思うんだよね。」
仕事帰りの車の中、松田と萩原は話していた。清原Aについてだ。
実は彼女、ここ1ヶ月その姿を警視庁に現していない。
「まーな…。」
「なぁにぃ〜?じんぺーちゃん。もしかして〜
っていたっ!俺運転手なんだけど!?」
「萩がバカなこと言おうとするからだろ。」
俺まだ何もいってませ〜ん、と言いながら運転していく萩原。だが、松田がしきりに清原を気にしているのは確かだった。
自分の言っているような心配ではないだろうが、なにかきにかかるのだろう。
「そういや萩。7年前…吹っ飛びそうになったあの日、何があったんだっけか。」
「前も話したじゃーんそれ。」
「わりぃわりぃ、もう一回きかせてくれよ。」
しょうがないなぁ、と言いながら語り始める萩原の話を聴きながら、松田はものすごく真剣に考えていた。
四年前じぶん自分を救った人間のことを。
実は定期的に思い出しているのだが、どうにもきにかかって仕方がないのである。
前に一課に公安部の人間が来た時、彼女が変装をしていたと言う話を聞いてからその頻度は高くなった。
「___ってわけ、聞いてた?」
「あぁ、んでよ気になるんだよな。
その青年ってのが。」
「へぇ、なんで?
まぁ確かに無茶苦茶な方法で俺らを脅した挙句、目的もわからないまま霧散したけど…。
結果として俺は生きてるからちょっとは感謝してるんだよね…ってのは置いといて。本当になんで?」
萩原も当時を何回か思い出すが、本当に真意の見えない青年だった。やっていることは冷静に考えると無茶苦茶で、衝動的な行動の結果だったのだろう。
だが通信妨害手段を持っていたのだから、ただものではない。
爆発に巻き込まれてかけらも残らなかったのかもしれないが。実際、事件はそういう扱いになっているし。
「似てるんだよ、萩のときと、俺が四年前の観覧車で救出されたヤツと、Aが。」
「えぇ、あれどう見ても男だったよ?」
「だから、だよ。
あいつ、どうやら変装できるらしい。」
「はぁ!?」
今赤信号で車が止まっていてよかったな、と我関せずで思う松田。
一方萩原は一瞬処理が追いつかずにいた。
154人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あまね(プロフ) - めちゃ好きです!ありがとうございます! (4月22日 10時) (レス) @page10 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:小波優凛 | 作成日時:2023年12月3日 20時