前々世がロードされましたver.4 【名探偵コナン】 (ページ5)

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そういえば彼を追っている最中に何度かメールが来ていたか。カルーソーからだったはずだ、俺にスコッチを頼むと送ってきたのは。
　彼女は俺たちがNOCだと知っていたんだろう。いや、知っていたはずだ。そうでなければ辻褄が合わない。

　GPSをつけられていると知った時、そんなことを考えませずに彼らと一緒に彼女を追い詰めたのは記憶にあたらしい。

　今となっては大変申し訳ないことをしたと思う。降谷くん…いや、バーボンの話ではその一件での彼女のNOC疑惑が今も尾を引いているとか。

　話しを戻すが、スコッチに追いついた俺は彼に提案した。FBIだと身分を明かし、我々の保護を受けないかと。

　その話の最中に、彼に降谷くんからメールが届いた。

　身分を明かしたあとだったため、若干の警戒はされながらだったが素早く彼はメールを確認した。
　今でもあの時の顔を鮮明に思い出せる。

　"バーボンが…もう少しでこっちに来るみたいだ。”

　と言ったときの顔を。嬉しそうな、それでいて来てほしくなさそうな複雑な顔。
　結論を言って仕舞えば、階段を駆け上がってきたのが連絡を取り合っていた降谷くんだったためにスコッチは自害しなかった。

　これがもし連絡が取れていなかったら、俺も油断して銃を奪い返され、彼は自らその心臓を撃ち抜いていただろうな。

　赤井の語る過去は鮮明だった。それは奇跡の重なり合いだったようで、少しでも違えば諸伏景光という人間を失っていただろう。

　知らずに眉根が寄り、歯を食いしばった。
　沈黙も束の間、赤井が話し始める。

「端的に言うと君のおかげだ、A。降谷くんに端末を渡してくれたこと、彼の冷静さを少しでも取り戻してくれたこと。
　そして何より、俺たちの敵を絞ってくれたことだ。おかげで気持ちに余裕もできた。」

「……そう。結果的にそうなっただけよ。
　感謝される言われはないわ。」

　ハハッ、と軽い笑いが電話越しに聞こえた。今彼がどんな顔をしているかは想像に容易い。
　生暖かい顔だ。強面のくせに…まったく。

「…ふぅ、教えてくれてどうもありがとう。助かったわ。彼らにも、どこかで私のこと教えなくちゃね。
　あ、手出しは無用ね。私のことは私がするから。」

「了解した。それじゃあな。」

「えぇ。切るわね。」

　__嗚呼、嗚呼。
　ただその言葉しか浮かばない。IQが低下しているとか、語彙力がどうのとか言う話ではなく、だ。

　…まぁいい。ニュースでも見よう。