…coming-out ページ4
最近外に出ていない。正確には自分の時間がない、というのが正しいかもしれない。
だからこうやって電話でしか彼らの話を得ることはできないわけなのである。
「___というわけで安室くんに沖矢昴が赤井秀一だとバレてしまってな。」
「……そう。なんか、早くない?」
「そうでもないと思うが…君の時間感覚がおかしいんじゃないか?」
「遠回しにバカにしてる?
でも正直、バタバタしているうちにあっという間に時間が経っている気がするわ。」
はぁ…とため息をついて壁のカレンダーを確認した。
確かに私の時間感覚が狂っているのか、この世界の時間がおかしいかの2択だろうなと思う。
これ、安室さん相当忙しいだろ。よくバイトなんかしてるよな。心配だよ私。
「まって、彼にバレたってことは結構色々言われたんじゃない?とくに…スコッチの件とか。」
「…結構散々言われたが、彼が死んでいたら比ではなかったと思うとどうもないさ。」
その言葉に血の気がなくなった。当時の状況を鮮明に思い出したからだ。
もしあの時少しでも違っていれば、私は彼の命を取りこぼしていただろう。奇跡だ。私は実際あの時あんな役にも経っていなかった。
もう過ぎたことだといえばそうなのだが。
「よければ…なんだけど…あの時、実際に何があったか詳しく教えてくれるかしら。」
少々言葉につっかえながら彼に尋ねる。
実のところ詳細はしらないのだ。バーボンを見送ってからNOC疑惑をかけられ、バタバタした挙句そのままだ。
「そういえば詳しくは教えていなかったな。
少し長くなるぞ、大丈夫か?」
「大丈夫よ。今日はもう何もない。」
「わかった。
あの日俺たちは____」
2、3年前。
スコッチがNOCだというメールが回ってきた時、やけに腑に落ちた感覚があった。それと同時にFBIとして彼をどう保護するか考えなくてはならなかった。
ジンの野郎は論外として、俺、バーボン、スコッチの3人を見ていたカルーソー…。
彼女が組織内で信用に値する幹部だとは思ってはいたが、結局は組織の人間に違いなかった。
追手を巻くために必死に逃げ惑う彼を執念深く追い続け、やっと邪魔されずに話せると思いFBIとして話を持ちかけた。
「落ち着け、俺はFBIの人間だ。」
カルーソーも含めて俺たちは冷静じゃなかったのかもしれない。スコッチ、バーボンが冷静さを欠いていたのはともかく、おそらく俺もだった。
彼は意外と頑固だったからな。
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あまね(プロフ) - めちゃ好きです!ありがとうございます! (4月22日 10時) (レス) @page10 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小波優凛 | 作成日時:2023年12月3日 20時