前々世がロードされましたver.4 【名探偵コナン】 (ページ1)

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…School ページ1

真っ黒な組織に在籍している私だが、義務教育は修了している。なんせ私が組織に入ったのは中学卒業後だ。15で組織入り…ふふ世の中真っ黒。

　ガクリ、と音が鳴りそうなほど首をうなだれさせて私はため息をついた。

「どうしたのAさん。」

「いや、シェリーの方が若くして組織に入ったよなーって思って。」

「そうね、物心ついた時にはもう組織の元で生きていたから…どうしたの？」

　ちらりと私を見上げ、手元のティーカップを皿に置いてから返事をした彼女。
　いまは阿笠邸にお邪魔している。

「んーん、大変だっただろうな…って思って。」

「まぁ…アメリカに留学させられたり、薬の開発をさせられたり…色々とあったけど。」

「…もしかして慣れちゃった?」

　まぁそんなところね、と返事する彼女は見た目は小学生、中身は18歳の科学者。
　こんなに大人っぽいのにまだ女子高校生の歳だ。

　ちょっと年相応な部分も垣間見られることもあるけれど、大体はそこいらの大人より落ち着いている。

「本当に変よ、大丈夫？」

「大丈夫大丈夫！ちょっと夢見が悪くてね…すこーし寝不足なだけだから。気にしないでちょうだい。」

　夢見が悪いとはよく言ったもので、なにがトリガーになったのかは知らないが「過去」を思い出したのだ。
　前世の記憶じゃなく、この人生の過去の記憶を。

　とんだ胸糞映画を見ている気分だった。これが私の過去だなんて知らなかった、いや蓋をしていた。

　もう前世の私の片鱗なんてどこにもない。そこまで名探偵コナンという作品に深く通じていたわけでもなく、この先の展開はさっぱりだ。
　某映画番組で放映された映画の内容はわかるけれど、先読みはなかなか難しい。

　なんせ私はもうロードしてから11年も年月を過ごした。人間の記憶は対して持続しない。

　おまけに私はロードした分記憶容量を圧迫している。なんなら前世の記憶はそぞろなコナンの記憶くらいしかない。
　前世の両親の顔は思い出せないくせに、今世の父母の顔は思い出せる。あー、憂鬱だ。
　所詮こんなものか人生なんて。

「そういえばAさん。あなた、とんでもなく多くの顔を使い分けてるわよね。」

「いや、そんな数多の顔を持ってるわけじゃないよ。今は“捜査一課の清原A”、"カルーソー"、"グレイ"くらいだから。」

「トリプルフェイスね…。しかもうち二つは平行してる時もある。」

　一課の皆さんには情報共有されてるからね、と告げた。