〔взрыв〕 ページ1
せかせかとコートで首元を覆いながら、曇天の街を通り抜けていくメガネの男。
その顔は怯え、恐怖、不安で歪んでいた。
男は何かを警戒するように立体駐車場に赴いていく。
その様子を確認している車中の男二人。
公安の風見祐也と降谷零だ。
「来ました!あいつが降谷さんの同期を殺そうとしていた爆弾魔…
…!すみません。」
「いや、いい。
いくぞ風見。」
車から降り、目標に接近していく二人。
風見が前を歩いていく。
彼らに気づいた爆弾魔は顔を青くして、コートの前を掴んでいた手を離した。
のぞいたのは青…いや水色とピンクの蛍光色を両側につけた首輪のようなもの。
風見は気づかずに確保しようと接近していく。
「く、来るな!」
「…?なんだ、それは…」
ソレを確認した時、ビーーと耳障りなブザー音が響いた。
水色とピンクの蛍光塗料らしいものが、チューブに吸い上げられていく。
冷や汗を流し、唖然とする男。
ソレを知っているのか、反射的に降谷が叫んだ。
「風見!離れろ!!」
ドォン!という爆発音と共に、ピンク色の炎が上がる。
降谷は爆風に体を吹き飛ばされ、緩い傾斜を転がった。
ハッと即座に起き上がった彼の目に映るのは、今にも立体駐車場の通路端から上半身をぶら下げ、ずり落ちそうな部下の姿。
かけだしてその片足を掴んだ。彼のメガネが暗い底へ消えていく。
風見は気を失っているようだ。
部下を引き上げようとする降谷の背後に近づく黒い影。
気配に気づいた彼が視認しようと顔を向けると、ペストマスクを被った怪しげな人物がいた。
「オマエは…!___」
近づいてくるソイツの手には、先ほど爆弾魔がつけられていた首輪型の爆弾。
しかしまずいとわかりつつ、この状態では動けない降谷。
___カチャン…
という軽い音と共に、文字通り爆弾という首輪がはめられた。
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作者名:小波優凛 | 作成日時:2023年4月22日 8時