【名探偵コナン】彼らの反応集(たまに短編？) (ページ12)

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続きページ12

「ね、Aちゃん。」

「ん？どした？」

　あの頃とまるで変わらない雰囲気、口調…仕草。
　ただ一つ変わってしまったのはその表情。

「連絡先、ちょうだい？
　また話したいし。」

「おっと、オマワリがナンパか〜？
　冗談冗談、はい。LIN○でいいでしょう？」

　交換して即座にピコン、と挨拶スタンプが送られてくる。
　ふざけたスタンプで返せば、ツボに入ったのか吹き出しながら笑った彼女。

　そうだ、昔はこうやって笑ってた。

「…っハハ！やめ…ツボ浅いんだって！」

「ごめんって〜。
　てか俺らってこんな仲良かったっけ？」

　ふと疑問になって、脳直で思わず口から滑り出た言葉。
　ぴたりと笑いが止んだ。

　視線がかち合うことはなく、彼女は視線を左下に落とす。
　眉を下げ、口角をあげた。

　ドクリと衝撃が走った。

「萩原君。私はもともと君とそんなに仲良くはなかったよ。
　でもまぁ、君は誰とでも分け隔てなく接してくれて。

　教室の端っこで小学生らしくもない過ごし方をしてた私を輪の中に入れてくれた。
　ま、自然と人がこっちにくるのもあったけど。」

　そういえばそうだ。彼女は隅で本を読んだり、絵を描いたりして静かにしているのに、自然と人が集まっていたような子だった。

　優しくて、聡明で、でもドジで笑いのツボが浅い。

　陣平ちゃんが「女版の萩みてぇ。」って言ったこともあった。

「着いたね、ありがとう。君の行きたい場所はこの先？
　なんかあったら連絡するね。今日は会えて嬉しかった。じゃ___」

「一回くらい、目…合わせてくんない？Aちゃん。
　2度と会えないかも知んないし…ね？」

　俺は何を口走っているんだろうか。こんなの彼女を驚かすだけだ。

「え、ごめん。目合わせてたつもりなんだけど…視力落ちたかなぁ。
　これでいい？」

　黒い目。真っ黒な、奈落の底みたいな双眼。
　彼女の目には何が見えているのやら。

「…何があったか知らないけど。無理しないでねAちゃん。」

「何もないよ…変なこと言わないで。
　じゃ、またね。」

　風のように彼女は去っていった。
　俺、ほんとに何してんだろ。

　とりあえず俺は帰るために足を動かした。

　脳裏からは彼女の表情が離れない。
　恋とかそんなんじゃなくて、普通に気になる。

　呆けているうちに消えてなくなりそうな人間の雰囲気だったよ…Aちゃん。

　ひと段落ついたら連絡しようと決意したのだった。