…deceive ページ46
NOCではないか、と疑われ始めた彼女に探りを入れてこいと言われた…正確には任務が与えられた。
なぜそう疑惑がかかっているのかはわからなかったが、このことが組織の仕事に影響がある、というのはすぐに理解できた。
彼女は組織の情報を統制している。
NOCであれば組織内の情報が外へ流出…最悪の場合警察組織へ流れ出しているということになる。
そもそも、13年間も組織に付き従い、16歳の時点でコードネームの与えられていた彼女のどこに疑う要素があるのだろうか。
いや、彼女の技量から考えて…NOCだった場合の損害が大きすぎるが故かもしれない。
大きな力というのは味方にとっては心強いが、敵となれば大きな脅威となる。
見慣れた家のインターホンを押すと程なくしてガチャリという音を立て、彼女が顔を覗かせた。
目があったのでニコリと笑っておく。
反射で閉めようとしていたので、扉を掴んだ。
「何の用なの、お帰りやがれくださいませ。」
ギリギリと続いている扉の攻防に余裕で勝ってセーフハウスに上げてもらう。
僕の計画では、彼女は優しさが裏目に出て僕をここに留める事になるだろう。
スコッチじゃないが、こいつは少々組織の人間とは思えない優しい節がある。今回はそれを利用させてもらう。
「…で、アポ無しで凸ってきて何の用なの。」
予想していなかった発言に、思わず咳き込む。気管に紅茶が入った…。
してやったり、とでも言いたげな顔である。
連絡をせずに家にこられたのがそんなに嫌だったのか??
冷静に切り返せば突っ込まれる。数年前…初めて会った時のあの刺し刺し強い雰囲気はない。
もしかしたらそれもNOC疑惑の原因かもな。
それから順調に様子のおかしいふりをしていく。
僕の顔を見た時のあの苦い顔は忘れられない…あれは僕に寝ろと言う風見と似ていた。
ちなみに今日は2徹だ。4徹なんぞで僕がこうなるわけもないが、インパクトは大事だからな。
事情を説明し、ベルモットがこの不眠顔を化粧した。
間近で見られると化粧だとバレないか心配ではあったが、大丈夫だったようだ。
いとも簡単に泊めてもらえた。一回はタクシーで送られそうになったが、彼女に僕のセーフハウスは教えていないので大丈夫だった。
彼女なら調べられそうなものだが…、動転してたんだな。
一応僕のことを心配してくれてのことだから、人として礼は言っておいた。
さて、彼女が寝るのを待とう。
131人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:小波優凛 | 作成日時:2023年3月22日 19時