…◇ ページ43
完了の連絡がインカムから聞こえてくる。
これで今回の仕事は完了だ。
「お疲れ様。報告は一旦私がしとくわね。
あとでそちらからもしてくれると助かるわ。」
「了解。そういえばアンタ…NOCかも知れないって言われてたね。」
「そうなのよね…何年この組織にいると思ってるんだか…。」
疑われ続けるのは癪だが、怪しまれることをしていた私が悪いのだ。
疑わしきじゃ罰せよ、の組織だが私の地位と経歴上そう簡単には消されないらしい。少し制限はあるけど…。
「消されないだけマシね。
ありがとう、じゃ…また。」
返事を聞いてからインカムをオフにする。
報告を終わらせてからPCの机でうとうとしていると、玄関のチャイムが鳴った。
こんな時間に誰だ、と思うもここを知ってるのは組織の人間だけのはず。インターフォンを確認せずに、玄関を開けたのが間違いだった。
「はーい…………。」
「おいこら、閉めようたってそうは行かないぞ。」
扉を開けて閉めるまでやく0.1秒くらいだったと思うのだけれど…閉めることを予想していたのか、がっしりと扉を掴まれてしまった。
なんでお前ここにいんねん…。お呼びじゃないんですけど金髪ゴリラさんや。
「何の用なの、お帰りやがれくださいませ。」
「口調酷いことになってますよ。いいから閉めようとするのやめろ、そして中に入れろ。」
ドアをめぐって体力勝負になり、見事負けた。
中に渋々バーボンをあげる。見られて困るものはない。
「家に入れて満足かしら？バーボン。」
「えぇ、ですが…拒否されるだなんて思ってなかったですよ。」
一応は客人なので飲み物くらいは出した。
数年前の警戒心はどこへやら、呑気に紅茶を啜っている。
「…で、アポなしで凸ってきて何の用なの。」
「…！？ゴホッ…ケホッ…！？」
押しかけられた腹いせに、いつもは使わない単語で話を振ってやった。してやったりだ。
私がそんな言葉を使うと思っていなかったのか、バーボンは盛大にむせている。そしてその顔には「は？」と書いてあるのだから、とても面白い。
「…あなた、冗談も言えるんですね。」
「私のことなんだと思ってたわけ？？」
茶番はこの辺で切り上げるとして、本当に何の用できたのだろうと訝しむ。
いつもは連絡が…仮に直前であったとしても来るのに。
「ふふっ、顔になんの用だって書いてありますよカルーソー？」
「…さっさと用件をいいなさい。」
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作者名：小波優凛 | 作成日時：2023年3月22日 19時
