…◇ ページ38
つなげていた電話を切り、電子的なカウントの音を聞きながら、エレベーターの中で残り3秒になるその時を待つ。
3年前は知らん奴が乗り込んできたな、と回想していた。
「松田刑事。」
「んだ、ボウズ。」
ボウズ、と俺が呼ぶこのメガネのガキンチョはさっきまで俺の指示で爆弾を解体していた。
先ほど見せた小1とは思えない雰囲気はなんだったのだろうか。
俺に話しかけてくるその様子は普通の小学生だ。
「3年前は松田刑事が解体したんだよね。」
「正確には、解体はしてねぇよ。
結局爆発したしな。」
ボウズの質問に答えながら飴の包装を破って口に入れる。
こんな場所でタバコは吸えないので、飴を咥えて辛抱しているが話に集中するのもありだな。
集中し過ぎてドカンは笑えねぇが。あと数十分もある。
「爆発したのにどうやって生き延びたの…?」
「妙なやつに首根っこ掴まれてよ。
観覧車の回転の中心部分にワイヤーで仲良く宙ぶらりんにされたおかげで、5体満足でここにいる。」
「そういえば爆発してましたね…。
松田さん普通にしていたので実感がなかったのかな…。」
高木のうろ覚えな発言はいいとして、このボウズただもんじゃねーな。
俺の今の発言から、当時の状況を推理しようとしてやがる。
「その時、ヒントって見たの?」
「あぁ。ヒントの中身は覚えちゃいないが、場所は米花中央病院だったな。」
「ヒントを見たのに爆発に巻き込まれなかったんだ…。」
ギョッとした顔をしている二人。
確かにあれは紙一重だったな…、と思い起こす。アイツが俺を外に連れ出していなければ今頃お陀仏だっただろう。
「そういえば、僕松田刑事に自己紹介してなかったよね。
帝丹小学校の1年生、江戸川コナンです。」
「捜査一課、強行犯三係の松田陣平だ。
よろしくなボウズ。」
今更ながらの自己紹介だが、暇つぶしにはちょうどいい。
他の奴らが言ってる探偵少年ってのはコイツのことか…と考える。
俺が指示を出して解体させたが、あのスピードは構造を理解してねぇと無理だ。
高木じゃねぇが、コイツ何者だろうな。
「あと10分…。
高木刑事、佐藤刑事のこと好きでしょ?」
「え、うん。……ってコナン君!」
へぇ、高木は美和子のこと好きなのか。てか唐突だな、話題がなくなったんか。
ちらりと高木を見ると、真っ青な顔をしていて面白い。ガキにバレてたのがそんなにショックだったのか?
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作者名:小波優凛 | 作成日時:2023年3月22日 19時