…sudden death ページ30
時はあっという間に流れるものだ。と、いうのも気づけばもう11月6日なのである。そう、3年前に松田刑事を勝手ながら救った11月7日の前日だ。
定期的に哀ちゃんや、コナンくんから電話がかかってきたり、捜査一課の皆さんの容赦ない出勤願いに応えたり、組織に引きこもって任務をこなしたりと忙しかった。
忙しすぎて、組織に捜査一課と関わっているとバレないかヒヤヒヤしたものだ。
過労で疎かになることが一番恐ろしい。
バーボンからはグレイについてしつこく聞かれるし、シェリー捜索には監視者付きで駆り出されるし…。
全く、私は一人しかいないって言うのに…。
まだダブルフェイスでよかったなと、ポジティブ思考に切り替えよう。
心の中でぶつぶつと愚痴を吐いていると、事件の情報が入ってきた。
最近事件多いな、と他人事のように聞き流す。
あいにく私はこの手の事件では不要。
いつも通りの仕事をこなすつもりだった…
_____のだが…。
「A!一緒に来なさい…!」
「え!?佐藤刑事、私は今回いらなくないですか!?」
ふいに聞こえた指示に困惑する。
私は外に出たくないのだ…!いつ誰に会うかわからないじゃないか…。
最近組織の面々もアクティブに昼間も働いてるし…!
「何かといてくれると助かるのよ。
いいから!ほら、荷物まとめて行くわよ!」
サッと立ち上がった佐藤刑事に一緒に来いと言われて戸惑う。自分はすっかりお留守番だと思っていたのだが…。
と、いうか…私便利屋じゃないんですけど!という反論は、心のうちにしまっておこう。
私の上司は佐藤刑事なので、従うほかない。
変装技術を信用して堂々としてよう…。
でも私が役に立ったことあったか?とも思うが刑事から信頼されていると思えば、嬉しいことなので考えるのはやめにしよう。
いつもの仕事道具とノートPCを、サッと鞄に詰めて立ち上がった。
3年前の今日起きたあの事件を、彼女も気にしているのだろう。少し間違えれば、この場にいる松田刑事も吹っ飛んでいたのだから。
ん…?待てよ…。
「松田刑事はお休みですか?」
「彼のことだから、一人で勝手に動いてるんじゃないかしら。」
微妙に納得いかないが気にしても仕方ないか、と早足で廊下へ出ていく佐藤刑事の後ろを追いかけた。
彼女曰く、行くのは郵便局強盗の件だそうで、今しがた連絡がはいった方だと思ったのは、私の早とちりだったようだ。
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作者名:小波優凛 | 作成日時:2023年3月22日 19時