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結局私は、安室さんに名前も何も教えないまま帰った。
彼が追いかけてこなかったのは謎だが、追いかけて欲しかったわけでもないので気にしないでおく。
「はぁ…。
とりあえず彼から逃げれたならよし、と。」
グレイとしての仕事は、溜めたくない精神ですでに済ませたので気が楽である。
今、どのあたりなのだろう…とメタであろう考えを始めた。10年以上も前のことだから、本当に詳しく覚えていない。
最近こうやって、名探偵コナンの内容を思い出そうとすることが多い気がする。
下手を打ったらすぐに消される世界にいるせいかもな、と自嘲した。
ピリリリピリリリピリリリ…ピッ
「はい、カルーソー。」
『僕ですバーボンです。
あなた、グレイについての情報をもっとちゃんと教えてくださいよ。
あなた、何か隠していませんか。』
こいつ…公安権力で調べ上げやがったな。もしくは自分で調べ上げたか、だが…そんな時間は彼にはないだろう。
こうなることは予測済みだから良いけれど。
「うるさいわね、だいたいあなた探り屋なら自分でやりなさい。
そもそも、私をタダで動かそうなんて、いったい何様のつもり??
ただでさえ最近忙しいってのに、優先順位が低い中で納期を守って提出したのがアレよ。
良いこと?情報を集めさせるなら的確に何が欲しいのか言うことね。
あなたのことだから、私に調べさせれば欲しい情報をごっそり持ってきてくれる、とか思ってるのかもしれないけど。
___あいにく私そんなに安い女じゃないの。」
ライにも見せた覇気満載のマシンガントークである。
こんなので丸め込めるかと言えば否だが、圧倒することだけなら可能だ。
怪しまれてなんぼ、組織の人間が怪しくないわけもないしね。
『……わかりました。
僕は自力で調べましたが、彼女は連絡先は公開しているようですし自分でコンタクトを取ってみます。
次お願いすることがあればよろしくお願いしますね。』
「待って、彼女?グレイは女なの…?」
確信を得ている言い方に疑問を持ったので、質問する。
私は男の格好も、女の格好もしていたはずだ。
声色も十人十色のはず…ちなみにベルモット仕込みだ。
『あなたと言う人が情けないですね。お疲れですか?
彼女…グレイは女性、男性どちらの格好もしていると言う情報があるのはご存知でしょう?』
「そうね、だから実際見てみないとわからないと思っていたのだけれど…」
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作者名:小波優凛 | 作成日時:2023年3月22日 19時