覚えてる。（JW緑） (ページ32)

今日:3 hit、昨日:2 hit、合計:167,353 hit

32 ページ32

Aside

カテーテルも点滴も外れて、動いたらはだけてしまいそうな院内着を脱いで、

お母さんが持ってきてくれたTシャツ、パーカー、ズボンを履く。

久しぶりに自力で起き上がったらよろよろしたけど、なんとか出来た。

神「入りまーす。おおー、準備万端やなー？」

「はいっ。でもちょっとふらつくんですけど」

神「大丈夫？頭痛い？」

ベッドの縁に腰掛ける私の目の前に慌ててしゃがみ込んで、顔を覗き込まれた。

「いえ、痛みとかは全くないです」

神「…無理したらあかんからね？」

笑顔で返事をすると、よしって言いながらぽんと頭に手を置かれた。

それから男性の看護師が来て、リハビリ室に移動になった。

看「じゃあ、行きは車椅子で。リハビリで体動かしたら、帰りは頑張って歩いて戻ってきましょう。」

看護師さんが近づいてきて車椅子を持ってきた。

神「支えるな？車椅子移れる？」

左手を握られて、右肩にはそっと手を添えられた。

足裏に思いっきり体重がかかる感じ、久しぶりで膝が笑ってしまう感覚があった。

一気に自分が年老いたような気分になって怖い。

どすん、と思いっきり車椅子に座ってしまってそれだけでも神山さんは本気で心配してくれる。

神「じゃあ、出発しますっ」

「お願いします…」

リハビリ室に到着すると、看護師さんが

付き添いの方はこちらでお待ち下さいと神山さんに言った。

窓から私の様子は見れるみたいだけど、なんだか急に不安になる。

すぐそばにいてほしい。付き合ってたことは覚えてないけど、神山さんと一緒にいると安心するの。

神「…どした？」

「いえ、何も。…あ、へっぴり腰だったり転んだりしたら恥ずかしいので、あんまり見ないで下さいね」

神「ふふっ…はいはい。頑張ってな？」

少し後ろ髪を引かれる思いで、神山さんが押してくれていた車椅子は看護師さんに押されてリハビリ室に入った。