Lily ・Ⅱ【ONE PIECE】 (ページ5)

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黒足と海姫ページ5

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この船に乗っているレディ達は本当に魅力的だ

ナミさんにユリちゃん。

本当の姉妹のように仲が良い2人

今日も彼女達におやつを届けに行く

『…サンジ、今日のおやつも、すごくおいしかった

サンジが作ってくれるものはどれも優しい味がする』

ユリちゃんが優しく天使のような笑みを浮かべてこちらを見ている

ほんっっっとうにユリちゃんは可愛い！！！

ユリちゃんの言葉はおれを喜ばすには十分すぎて。

「…ユリちゃんにそう言ってもらえるなんてコック冥利に尽きるぜ」

鼻血を我慢して言うと、ユリちゃんはふわふわと笑う

「おいサンジ！血が出てるぞ！」

遠くからウソップの声が聞こえる

鼻血を出すまいと力を入れていたらいつの間にか出血していたらしい

『わ、』

ユリちゃんが急に口から血が流れ始めたおれに驚いて、ハンカチを出しておれの口元を優しく拭った

レディのハンカチをおれの血で汚すなんて…

「ご、ごめんユリちゃん！ハンカチ、」

ハンカチをもつ方のユリちゃんの手を咄嗟に止めてしまった

ユリちゃんの少し体温の低い手

『わ、サンジの手は暖かいね』

おれの手を優しく包み込む

おれの心臓の音が聞こえるのではないか

ドクドクと大きく動く心臓を片手で抑える

「ゆ、ユリちゃ、」

『…いつもわたし達に料理を作ってくれるサンジの手

わたし、サンジが頭を撫でてくれるの、すごく嬉しいの

サンジの撫で方はいつもすごく優しいから、すぐにサンジって分かるよ』

ふわり

花が咲くように笑うユリちゃん

以前ウソップが言っていた

「ユリはおれらの前ではいつも嬉しそうな、優しい顔をしてるんだぜ

おれらと一緒に居れるのが嬉しいんだってよ」

ユリちゃんのこの優しい笑顔を見られるのは、

向けてもらえるのは、

一体何人いるだろうか

「…ユリちゃんが喜んでくれるなら、いつでも撫でてあげるよ」

『んふふ、じゃあ、お願いします』

ゆっくりとユリちゃんの頭に手を乗せる

ユリちゃんが嬉しそうにしているのを見て、

やっぱり、この子の笑顔は素敵だ

レディには笑顔が似合う

今日もそう思うのだ

…

雪のように真っ白な彼女の髪が、赤に染まるのを何回か見た

海賊になった以上、戦闘はつきものであるのは承知だ

だけど、レディに傷ついて欲しくない自分がいる訳で。

ユリちゃんが世界貴族から狙われるかもしれないと聞いた

あのとき、おれは決めたのだ

この子を守ろうと。

優しいこの子を、

優しい笑顔を。

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