第十五篇 使い捨ての駒 ページ15
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ポートマフィアの下級構成員は、所謂
駒達はその命を命とも見なされず、組織に入って時間が経てば、只血を流して死ぬ。
『此れはもう駄目ですね。辛うじて生きてはいるけど、血が流れ過ぎてる……あと五分と云った処でしょう』
「そ、そんな……!!彼は、彼は私の恋人なんです!!助けて下さい、貴方にしか頼めないんです……」
『彼とずっと一緒に居たいんなら、この世界には踏み込むべきじゃなかった。此処はそんなに生温い場所じゃない』
徳富は荒い息を繰り返している女性構成員の前を通ると、隣の寝台で寝ている違う患者の治療を始めた。
『怪我が無いなら出て行きなさい。邪魔です』
「でも……」
『出て行って』
徳富がギロリと構成員を睨み付ける。
構成員はびくりと肩を揺らすと、泣きながら医務室を出て行った。
『……今日は患者が多いなぁ』
徳富は寝台に横たわっている男構成員の包帯を解いた。
包帯の下の生々しい傷が露わになる。
其れを見ると、徳富は更に眉の皺を深くした。
救えなかった患者。嘆き悲しむ暇も無く次の患者の手当。
そんな事を繰り返している内に、何時の間にか患者の命に対する感情を失ってしまっていた事に気付いた。
昔から首領の指示に従う事だけを考えていたから。
時々、首領が味方なのか悪なのか判らなくなる事がある。
あの人に拾われたのは本当に正しかったのだろうか?
徳富は目を閉じた。
傷にそっと触れ、ぽそりと呟く。
『〈不如帰〉』
その瞬間窓から医務室にホトトギスが二羽入って来て、徳富の肩に止まった。
呼び出されたのが嬉しいのか、しきりに徳富の頬に身体を擦り付けている。
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こめこめコメダ(プロフ) - てかみそさん» 仕方ねぇ続けるべ☆いぇい☆ (2022年12月22日 14時) (レス) id: b8ad08ce24 (このIDを非表示/違反報告)
てかみそ - こめこめコメダさん» 辞めたら………いやなんもしないけどほら。私はさ。プリ小説やってるし?私の思いもこめさんに継いでもらうって決めてたし((((((((殴 (2022年12月22日 14時) (レス) id: ca294d51e0 (このIDを非表示/違反報告)
こめこめコメダ(プロフ) - てかみそさん» うぅ〜……私も最近占ツクしんどくなってきたし辞めちゃおっかな… (2022年12月21日 3時) (レス) id: 3c5b67e3ca (このIDを非表示/違反報告)
てかみそ - こめこめコメダさん» まじだよ (2022年12月20日 18時) (レス) id: ca294d51e0 (このIDを非表示/違反報告)
こめこめコメダ(プロフ) - てかみそさん» マジかよ…… (2022年12月20日 11時) (レス) id: b8ad08ce24 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こめこめコメダ | 作成日時:2022年11月5日 19時