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episode8 ページ9
side七海
彼女はかなり熱も高そうだったし、とてもぐったりしていて辛そうだった。
しばらく一緒にいたかったが、まだ任務が残っているので仕方なく医務室を出た。
「七海さん、次の任務の件ですが……。」
伊地知くんと五条さんが足早にこちらに来た。
彼女がいないから任務の調整もあって忙しいのだろう。
「五条さんがまとめて片づけてくださったので、予定していた任務はなしとなりました!」
「だから、兎束の所に行っておいで。心配なんでしょ?」
先ほどの件の罪滅ぼしのつもりなのか、それともただの善意か。
どちらにしろ五条さんにしてはめずらしい。
五条さんと伊地知くんにお礼を言ってから医務室へ向かった。
医務室に入ると、先ほどよりもぐったりした姿の彼女がいた。
家入さんはいないようだった。
「行かないで……って私もできれば貴方と一緒にいたいと思ってましたよ。」
私が医務室を出るとき、微かに聞こえた。
振り返ると、彼女は眠っていて。寝言でたまたま言っただけかと思ってスルーしたが。
内心穏やかではなかった。
彼女はいつも人を頼ろうとしないし、不満も辛いことも何も私に言ったことはない。
そう、術式は兎みたいなくせに、性格は兎とは程遠いのだ。
なのに、先ほどのあの言葉。
可愛いらしい、兎のような弱々しい姿を見てしまっては。いつも通りにできるはずがない。
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作者名:揺音想愛(yuotosoa) | 作成日時:2024年3月6日 19時