24話〜隠される真実〜 ページ25
彼の話によれば私は今14歳。
隼人もおなじ学園に通っていてクラスは別。隼人は特進クラスにいるらしい。
仕事だと思っていたパパは私達が9歳の頃事故で亡くなっていた。
今私が病院にいるのは帰宅途中に交通事故へあってしまったのだという。
身体が痛いのはそのせいか……。
隼「他に聞きたいことはあるか？」
首を横に振れば「じゃぁ俺は1回帰って着替えとか持ってくるから」と言って病室を出ていった。
彼から聞いた話は全くに身に覚えがなくてまるで別の人の人生みたいだった。
いくら４歳までの記憶が残っているって言ったってたかが4歳。そんな記憶がハッキリと残ってるはずがない。
器だけ残った中身が空っぽな自分。
眩しいほどの純白の病室は酷く恐ろしく思えた。
その夜、少しずつ情報が整理できて私はそこで初めて悲鳴をあげた。
枕に顔を押し付けて、布団で体を全て覆って。
怖い、怖い、怖い。
自分が誰なのか分からないことが。
隼人が教えてくれたことが全て嘘だったら？
着替えた時に見えた身体中に広がる痣は、傷は本当に事故で付いたもの？
欠けた過去の中で私はどうしようもないようなことをしてしまっているのかもしれない。
自信が、ない……。
やましいことをしていないと言いきれる自信が、どこにも。
『……たすけてっ……』
このまま消えてしまえば良かったのに。
＊＊＊
数日間入院生活をしたけれど私が記憶を取り戻すことは無かった。
私は元いた音海学園へ通うことが決まった。
日常生活を過ごしているうちに記憶を取り戻したという事例があるらしい。
でもそれはただの予想。私もそうだとは限らない。
医「それから、記憶を取り戻した反動で今のあなたの記憶が失われてしまう可能性があります。可能性の話ですが、覚えといてください」
なんて曖昧な言葉。
予想で話される全ての内容に乾いた笑いがこぼれた。
この言葉に私はなんて返せばいいのか。
『はい分かりました』と物分りのいい返事をすればいいのだろうか。
それとも『そんなのあんまりです！』とか泣き喚けばいいのだろうか。
もう何も考えたくない。
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作者名：湯のみ | 作成日時：2021年10月11日 7時
