15話〜薬ね〜 ページ16
『んん……』
扉の開く音で目を覚ませばそこは自分の部屋で。
『あれ、なんで……』
私部屋で寝たっけ……。
てか、汗凄い、気持ち悪い。
着替えようとパジャマのボタンを外せば。
業「いやいやいや、ちょっと待って」
『へ、、、えっ、きゃぁぁぁ！』
お盆を持って顔を背ける赤羽くんの姿。
へっ、なんで！？なんでいるの！？
熱のせいか、焦りのせいか、頭が回らない。
業「とりあえず1回部屋出るから、着替え終わったら呼んで」
『そうしてくださいっ、お願いしますっ！』
『……赤羽くん、ごめんね？もういいよ』
再び部屋に戻ってきた彼はもういつもの変わらない表情に戻っていた。
持っていたおぼんをローテーブルの上に置くとベッドの横へ静かに腰を下ろす。
業「身体は？」
『まだ辛い、です』
業「お粥作ったけど、どーする？一応リンゴも剥いてきたけど」
『リ、リンゴ食べたい』
「はい」と手渡されたリンゴを食べる。
美味しい。
業「次は薬ね」
『……』
業「薬ね」
いやだぁぁぁぁ！
なんか、フルーツ味の薬とかあったら飲めるのに！
お菓子感覚で飲めるやつ！あ、でもそうなると風邪ひく子供が急増するか…。改善策は……
業「くす、」
『わかってますっ！ごめんなさい、飲みたくなくて現実逃避してました！！』
赤羽くんの言葉を遮るように伝えれば静かに笑われる。
だってあいつ苦いじゃん！特に粉薬とかどんなに息止めて飲んだって後味って言うかなんていうかぶわって広がるじゃん！ぶわって！！
業「飲まないと身体ダルいでしょ？」
『……』
そうですね！座ってる今も結構キツいです！
なんかもうテンションハイだよ…！
業「ねぇ、そこまで拒否されると無理やりにでも飲ませたくなるんだけど」
うわぁ、素晴らしい笑顔ですね！すごく楽しそう。私は全然楽しくないけれど。
『…………』
業「……」
『…………錠剤…？』
業「うん」
『…………お水』
そう言えばグラスに入ったお水と錠剤を2錠渡される。意を決して、錠剤を口の中に投げ入れ即グラスの水で流し込んだ。
業「ん、じゃぁ、俺は隼人くん帰ってくるまで下にいるから何かあったら呼んで」
部屋から出ていこうとする彼の袖をキュッと握った。
『ごめんなさい、迷惑って分かってるんだけど私が眠るまででいいのでここにいて、ください…。1人は…』
1人は嫌だ。
あぁ、私何してるんだろう。恋人でも家族でもない人に看病してもらって。
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作者名：湯のみ | 作成日時：2021年10月11日 7時
