#1 ページ3
Aside
________
『__捨てられた。』
そう呟いたAのか細い声は、暗く冷たい闇の中へと消えていった。
『なんで僕にはお母さんとお父さんがいないの?』
×××「──────」
あの時、誰に何を言われたのだろう。
ひどく懐かしく、暖かい声。
それすらもAの記憶から薄れていった。
____________
______
___
どれくらいたっただろう。
いつの間にか僅かな陽の光が空に滲んでいた。
Aは、突き刺すような寒さと、それさえ感じないくらいの寂しさに包まれ、イケブクロの寂しげな路地の隅にうずくまっていた。
昨晩、長い距離を歩いたからだろうか、足に力が入らない。
余裕のないお金で電車に乗って名前も知らない駅で降り、一晩中歩き続けたAの細い足には数え切れないほどの傷と痣、人の手による暴力の跡が残っていた。
それに重なる過度の疲労感、それは今のAを死に追い込むには十分すぎた。
『___死にたい。』
(もう目を覚ますことがありませんように)
信じることも忘れた神に向けてそう祈り、Aは再び意識を手放した。
_____________________
【定期】
閲覧ありがとうございます…!
よかったら、コメントや評価を残していってください!
6人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆん | 作成日時:2021年1月21日 20時