薄桜鬼 半妖の少女（弐）

〈第零禄参話〉 嫌な奴:参 ページ23

土方:「それから...」

と土方は続けて話す。

土方:「雪村。お前に平助から言伝だ。」

千鶴:「あ、はい。」

土方:「お前の家へ寄ってみたが綱道さんが戻った形跡は無かったそうだ。...平助はまだ暫く江戸だ。手がかりがあればまた知らせてくれるだろう。」

千鶴:「そう...ですか。調べて下さって、
ありがとうございます...(苦笑)」

雪羅:「ﾎﾞｿｯ)ねぇ、Aちゃん。千鶴ちゃんって、お父さんが行方不明なの？」

A:「(知らないんだったな...雪羅は。)ﾎﾞｿｯ)千鶴は元々江戸に住んでたんだ。で、ある日...お父さんである綱道さんと言う人が京に用事が出来たらしく、暫くは帰ってこれないが必ず文を送ってくれたんだそうだ。
だが急に連絡がひと月と途絶え、もし何か
あったら松本先生と言う人を頼むといいと言われ、その松本先生の所へと足を運んだが留守だったんだ。」

雪羅:「ﾎﾞｿｯ)...千鶴ちゃん、大変だったんだね...。」

A:「あぁ。」

雪羅:「ん？でも、それなら何で新選組の屯所に住んでるの？」

A:「...それは近藤さんが『新選組預りとする』って言ったからだな...。」

雪羅:「へぇ〜...。」

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ーー元治二年 二月ーー

大広間にて......

近藤:「また隊士が増える予定だ。やはり早急に新しい屯所を探した方がいいだろう。」

総司:「でも、僕達を受け入れてくれる所なんてあるんですか？」

と、沖田は近藤に問う。だが、その問に答えたのは土方だった。

土方:「...西本願寺。」

総司:「あっはは！！まさか、強引に押し切るつもりですか？土方さんらしいなぁｗｗｗ」

一:「...西本願寺は長州に協力的です。同意を得るのは簡単ではないと思いますが...？」

山南:「僧侶を武力で押さえつけるなど、見苦しい事です。」

伊東:「あら、西本願寺で宜しいじゃありませんか？立地条件も良いですし、長州封じにもなりますわ。」

それぞれの意見が出てきた為、近藤は顎に手を当て、考える素振りを見せる。

山南:「しかし、正義を欠いた大義など、いずれほころびが出ます。」

伊東:「でも、物事を推し進めるには強引かつ大胆な策も必要ですわ。守りに入ろうとするお気持ちは、分かりますけど。」

山南は、伊東の言葉に再度尋ねる。

山南:「...『守り』？」

伊東:「その左腕は使い物にならないそうですが...」

伊東が、その言葉を言い放った時...近藤以外の幹部たちは怒りを覚えた...

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