愛があれば【ホークス】ⅱ (ページ10)

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迷い子ページ10

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『すみません、逃げられました』

「接触はできたんだな？」

『はい』

「なら問題ない」

電話越しの声を聞きながら表の明るい道に出た

吹き付けた風が右頬の切り傷に染みてヒリヒリする

「あっ！レプリカ！？」

「えっ嘘…！」

「俺初めて見たわ！」

「やっぱ美人ー」

通行人の目が一斉にこちらを見た

緩く手を振ると目を輝かせたり顔を赤くしたりと様々な反応が見れる

『それじゃあ、また今度連絡します』

短い返事が返ってきて電話が切れた

サイドバックにスマホを仕舞うと、学ランを着た中学生らしき3人組が話し掛けてきた

「レプリカなんでここに居るの！？」

「やっぱ“ステイン”探してんの？」

『それもあるけど、普通にパトロールだよ』

「でもレプリカの事務所ってもっと遠いところにあるんじゃ、？」

『よく知ってるね！』

そう話しているうちに少しだけ立ち止まる人が増えたような気がした

『実は最近ね、私が担当する地区の事件発生率が著しく減ってきたから新米サイドキックにそっちをお願いして、暫く保守市もパトロールする事にしたんだ』

「「「へー」」」

『君達も学校の先生に言われてると思うけど、寄り道しないですぐにお家に帰るようにね』

ばいばいとお互いに手を振ってお別れすると、不意に袖を引かれた

「れぷりか」

小さな女の子が兎のぬいぐるみを抱えながら私を見上げている

『どうしたの？』

同じぐらいの目線になる様にしゃがむんで優しく聞き返した

「ママがね、あくしゅしたいんだって」

『そーなんだ！』

ゆっくりと丁寧に発せられる言葉に頷いて、周りを見渡すがそれらしき人物は見当たらない

『ママいま何処にいるかわかる？』

「え？」

そこで漸く女の子は自身の母親が居ないことに気付いたらしい

「ママいない、…」

涙目になりながら辺りをキョロキョロと見渡す女の子に、慌てて提案した

『じゃあ一緒にママ探しに行こう！』

「いいの…？」

『うん！きっとママも近くにいるから大丈夫だよ』

やんわりと頭を撫でて、私は女の子を抱き上げた