愛があれば【ホークス】ⅱ (ページ31)

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社会の癌ページ31

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「言われた事はないか

個性にかまけ挙動が大雑把だと…！」

ステインが轟君が出した氷の間を駆け抜け一気に距離を縮めていく

「ッ！」

「…ッ！(バケモンが！！)」

「轟君ッ！！」

ステインの構える刀は轟君の腕を掻き斬ろうと勢いを増していく

…ダメだ、ｯ!

間に合わ

ｷﾞﾝｯｯ！！

『残念でした』

轟君の左腕は付け根から離れることはなく、レプリカが持つ小型の刃物によってステインの刀は勢いを止めた

「レｯ、レプリカ！？」

なんで此処に…！？

『飯田君！！』

レプリカが叫ぶと刀を弾き頭を下げると背後から飯田君が飛び出した

レシプロバーストをもろに受けたステインは吹っ飛ばされた

「轟君も緑谷君も、関係ないことで申し訳ない」

「まだ、そんなこと…」

「だからもう、2人に血を流させる訳にはいかない」

レプリカは僕達のやりとりに何も言わず、ただ見守っている

「感化され取り繕っても無駄だ」

「人間の本質はそう易々と変わらない」

『…』

「お前は私欲を優先させるニセモノにしか成らない」

「ヒーローを歪ませる社会の癌だ」

ステインは飯田君を鋭い目付きで睨む

「誰かが正さねばならないんだ」

レプリカは静かに僕らの前に立った

その表情は分からないが、深く息を吐いていた

「時代錯誤の原理主義だ」

人殺しの言うことに耳を貸すな、という轟君の忠告を飯田君は否定した

「いや、奴の言う通りさ」

「僕にヒーローを名乗る資格など、ない」

それでも、と続ける飯田君は血を流しながらも、インゲニウムを死なせないために自身は折れないことを強く誓った

「論外」

そう一言零して襲いかかって来るステインに、凛とした声がその場に響いた

『先日お会いした時も思ったんですけど』

彼女がゴーグルを下げる動作が、少しだけ遅く見えた

『アンタ自分のこと神様かなんかだと思ってる？』

小柄なレプリカはヒールを履いた長身の女性へと姿を変え、カマキリの様な腕で刀を受け止めた

後ろ姿で少々分かりにくいが、あの特徴的な容姿は

数年前、巷を騒がせた連続殺人犯

“鎌瀬花蓮(ｶﾏｾｶﾚﾝ)”に間違いなかった