人並み以上に ページ30
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思うように動かない体に鞭を打って走る
市民達は逃げ切ったようで、道路には無造作に置かれた車のみ
ステインの居場所が分からない今、個性を使う程の体力が回復しきれていない体では神経を研ぎ澄ますしか方法はなかった
道路の真ん中に立ち、敵が近くにいないことを確認してから目を閉じた
遠くから聞こえる獣の叫び声
誰かとが誰かが爆発音に掻き消されながらも何か叫んでいる
ミルコさんほど優れた聴覚は持っていないけれど、人並みよりは聴こえる
水谷さんに手伝って貰いつつもそうなるように必死に鍛えた
風に運ばれてきた焦げ臭い煙の匂い
温められた風を肌で感じる
『(あれ、冷たい…？)』
冷気だ
いまの季節にしては冷た過ぎる空気が風に乗って頬を撫でた
…どこかで誰かが氷の個性を使っている？
『(氷又はそれに近い個性を持ってる人を何人かは知っているけど、保須市に居るはずが……)』
＿＿＿＿＿＿＿いまインターン中なんです！
先日の夜に緑谷君の言葉と共に、雄英生がインターンと呼ばれるものの真っ最中だということを思い出した
氷の個性を持つ雄英生は、一人しかいない
そしてインターンで保須市にいる可能性もある
轟君がいる大体の場所を把握したからといって、そこにステインがいるとは限らない
もしかしたら無駄足になるかも
ただ、彼は学生の身分だから近くにヒーローがいることは確定できるだろう
先ずは情報が無ければ何も始まらない
闇雲に探すよりも、そっちの方が効率が良い
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作者名：あいこす | 作成日時：2020年8月17日 14時
