愛があれば【ホークス】ⅱ (ページ29)

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苦しくなったらページ29

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黒い物体がﾄﾞｻｯという鈍い音を鳴らし落ちてきた

『ﾊｯ、…はぁｯ……、ｯはぁ…！』

ドクドクと異常な早さで強く響く脈の感覚が気持ち悪い

肺いっぱいに酸素をまわして、要らなくなったものを吐き出して

煩い心臓をゆっくりと静めていく

「……」

脳無はピクリとも動かないが、恐らく酸欠で気絶しているだけだろう

地面に両膝を着けてみっともなく上下する上半身に、自嘲的な笑いが込み上げてきた

『(身体的に苦しくなったとき、何故か自然と笑えてくるって誰かが言ってたなぁ…)』

大きく深呼吸をして

それから首に掛けっぱなしだったゴーグルを目元に持ってきて装着し直した

『…ヒーローに、休んでる暇なんて無いよね』

ウエストポーチから小さな袋を取り出した

＿＿＿＿これから、この薬を服用して欲しい

＿＿＿＿1日2回、必ずだ

袋にはカプセル剤が

＿＿＿＿君が成長するにつれて薬の量も増えるだろう

＿＿＿＿もし、任務中に体の限界が近付いたら

袋をひっくり返すと、コロンっと2粒並んで出てきた

＿＿＿＿躊躇わずにソレを飲んで

＿＿＿＿即効性は期待できないけど

カプセル剤を口の中へと放り込んで、ゴクリと喉を鳴らした

＿＿＿＿＿きっと君の役に立つだろう

目元が見えない白衣を着た男は、怪しく笑っていた