愛があれば【ホークス】ⅱ (ページ24)

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何たるものかページ24

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人の波に逆らって炎が上がる場所へと走る

人々の困惑した声と立ち昇る土煙、鼻を嫌に刺激する焦げ臭い匂い、それから獣のような雄叫び

様々な情報が真っ向から襲いかかってくる

騒がしいのは、あまり得意じゃなかった

余計な事は考えないようにして、ただひたすらに走った

はやく

はやく現場に、

「＿＿＿＿＿＿＿こわ…ぅ、た…けてッ！」

視界の片隅

ほんの一瞬、子ども特有の幼い声が僅かに聞こえた

そして私は迷ってしまった

敵退治か、あの子を助けるべきか、

長い間任務や仕事をこなしてきて、私は碌な人命救助をしたことがなかった

精々パトロール中に迷い子を親元へ返したことくらいだ

そんなことは当然人命救助といえるほど大したことじゃない

ヒーローとは、英雄とは何たるものか

“善人になんてならなくていい”

“お前は、お前にとって何を優先すべきかだけを考えろ”

『待っててッ！いま助けるから！！』

瓦礫を慎重に避けて男の子を引っ張り出した

幸いにも瓦礫同士の隙間に収まってしまっていただけで怪我は無かった

『そこのッお兄さん！この子をお願いします！』

「は、はいッ…！」

ヒーローとは何か、

英雄とは何か、

真の正義とは、

そんなこと私は知らない

だけど、

「ﾋｯｸﾞ！うぅ…！」

『…怖かったね

でも、もう大丈夫だよ

私が悪い奴らをやっつけてきてあげる

だから、大丈夫』

“独り”の怖さは、ずっと前に知っている