2話 ページ3
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「そうだったね。ママには内緒、だったよね」
「もー!」
ぷんぷんと効果音が鳴りそうな、可愛い怒り方で思わず笑みが出てしまう。再度、先生は立ち上がり、私と向き合った。
「ということなので、お楽しみ会、楽しみにしていて下さい!」
「はい、わかりました!」
そう告げ、今度は私が結愛と目線を合わせた。結愛はいつの間にか長くなった髪と遊び、私と目が合う。
「じゃあ、帰ろっか」
「うん!りゅーしぇんせんせぇ、さようなら!!」
「はい、さようなら。気をつけて帰ってねー!」
結愛の小さい手を握って、駐車場に停めた車に向かって歩いた。歩いてる途中、結愛は独り言のように口を開いた。
「ぱぱもきてくれるかなぁ……」
心に突き刺さった。確かに別れられたのはいいけど、この子にとっては唯一の父親だ。心の隅にいたモヤモヤが、また出てくる。
この子にもそろそろ話した方がいいのか、そう悩んでいたら、誰かに背後から話しかけられた。
「あ、はい!」
そう言いながら、振り返ると、そこには長めの紺色の髪を揺らした男性だった。胸元には、顔がそっくりな男の子が抱っこされていた。
結愛は笑顔で「けいたくん!」と男の子に向かって言っていた。
「あ、えーと……」
「急にすみません!!俺、結愛ちゃんと同じクラスの景太の父親で、長尾景って言って、さっきこれを落としていたので……」
長尾さん?は、手から薄紫色のハンカチタオルを出した。それはついさっきまで持ってたものだった。私は慌ててバックの中を漁ると、ハンカチタオルが無かった。
「すみません!!!」
「気にしないで下さい!息子――景太が「これ、ゆうあちゃんままの、はんかち」って言うから、いっそいで探して今に至ります 笑」
「ホントにすみません、!!」
「大丈夫っすよ!いつも景太の口から、結愛ちゃん、って聞くから、気になっていたので」
端正な顔立ちは、少し明るい電灯に当たる。
「いつも息子がお世話になっています」
「いえいえ、!こちらこそ」
「結愛ちゃんもいつもありがとな!」
彼は結愛と目線を合わせて、そう言った。結愛は嬉しそうに笑う。それに釣られて、彼の息子さんも笑った。
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にゃーちゃん - 初コメ失礼します!ngoパパ…えっ好き(ngo最推し)めっっっっっっっっちゃ更新楽しみにしてます!!!!!!頑張って下さい!!!!!! (7月13日 23時) (レス) @page3 id: fd6863f2a6 (このIDを非表示/違反報告)
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