初めての登校 ページ4
慣れない制服に腕を通し、荷物を背負う。
「行ってきます、お母さん」
「ええ、なるべく早く帰ってくるのよ」
「はい」
家を出て、駅を目指す。電車に乗って、雄英最寄りを目指す
「…？」
何か、当たった？まぁ今は通勤ラッシュの時間帯だし、仕方なくはあるか…
そのまま揺られているが、何回かお尻に何かが当たった気がした
「あれ、抵抗しなくていいの？」
そう声をかけられ、確信する。今、私は痴漢されている。だからって抵抗すれば、学校側に伝わり退学させられ家を追い出されるのは目に見えている。耐えるしかない。しかしその人物は調子に乗り、制服の上から胸を触って来た。気持ち悪い
「な、何だよ！お前！」
何事かと思い、電車の窓越しに後ろを確認する。紅白頭の私と同じ制服を着た男の人が痴漢と思わしき男の手を掴んでいた
「そいつは俺の知り合いなんだ。このまま駅員に突き出すからな」
どこか、冷たい目。私と似たような人だとすぐに感じた。でも、知り合いって…？私、この人とは初対面なはずだ。
たまたま次が、雄英の最寄り駅だったので、降りようとすると男の人に手を掴まれ、一緒に降ろされた。近くにいた駅員に近付くと
「すみません。こいつ、この人痴漢してたんですけど」
「わわ、雄英の方ですか！とりあえず、こちらで事情聴取を…」
駅員に男を渡したのを確認して、男の人の制服をチョンチョンと摘む
「どうした」
「…時間、もうないです」
「まあ、連絡入れてもらうかすれば大丈夫だろ」
「…そう、ですか」
お母さんに、怒られそう…
「そういえば、どうして知り合いなんて…？どこかでお会いしました…？」
「いや、制服が同じだったから適当言っただけだ」
「…ありがとうございました」
「堅苦しくならなくてもいい。当たり前のことしかしてないからな」
お母さん、痴漢されて遅刻したなんて知ったら怒るだろうな…
そのまま事情聴取を終える
「…どうします？走ります？」
「いや…普通に歩くか」
「わかりました…」
…今日は、帰りたくないな…
無言で、横並びに歩く。元から静かな人なのだろう、真顔で歩いて、たまに私が遅れてると止まってくれる。優しいな…
「…なあ、お前最寄り駅どこだ？」
「…私は…〇〇です」
「なんだ、俺と同じか。なら今日は一緒に帰るか」
そのまましばらく話していると、同じ教室だと知った
「名前、なんだ？」
「余村Aです」
「俺は轟焦凍。よろしくな」
「…はい」
久しぶりに、微笑んだ
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作者名：夢乃 | 作成日時：2019年10月5日 20時
