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いつだったか。そう、あれは夏下がりの日だった。白いつば広帽と白いワンピースを身につけた女がやけに印象に残っている。西洋ではあまり見られない黒い髪を風にたなびかせながら。
『久しぶりだなぁ。』
彼女はそう言いながら、重い門を易々と明けワイミーズハウスに入ってきた。何せ開けるのもまた苦労。
「え、Q!?」
ついでに、入ってきた女がQだと知った。
一緒に遊んでいたリンダが声を上げた。ボールで遊んでいた俺たちは驚きのあまり固まってしまった。
「おい、メロ見てみろよ!Qだ!」
マットが興奮したかのよう俺のコードネームを呼んだ。俺は改めてQの姿を見る。そこにはいつの間にか子供達にくっつかれた俺のサンタマリアの姿があった。
改めて見るとそれは異次元の存在であった。身長は雑誌で見るよりも高く、その美貌も言わんとした。
いつの間にかニアも外に出てきておりQを見ていた。ニアが出てくるのは滅多にない。それを連れ出したのだ。矢張りアルファベットの存在は偉大である。ロジャーが急いで庭に出てきてQを迎えに行った。
ロジャーに連れられてハウスに入るQは俺たちの姿を見て駆けつけてきた。それも勢いよく。恐ろしいくらいに。
『ねぇ、ロジャーこの子すっごい可愛い!へえ、メロっていうの?次のランウェイのサブやって貰っていい?え、何?男の子?え、本当に?え、君男の子なの?』
『え、真っ白。冬の妖精か何か?君はニアって言うんだ。今度冬服のモデルのオーディションがあるんだけどどう?え、何?君も男の子?え、偽装してない?』
『確か君はマットだよね?大丈夫!!ここにいる子の名前は全員覚えているから!因みに言うと君は男の子だよね?さっき2人も騙されちゃってさ。ちょっとそのゴーグル外してみてよ。は?女の子?』
彼女はロジャーの合いの手を挟みながらも間髪入れず話した。しかし俺は何より女に見えたことがショックであった。
俺に対してのQの印象は最悪なものであったがしかし他の2人は違っており、マットなんか頬を染めてやがる。おい、抜けがけは許さねぇぞ。
Qは思ったよりも子供であった。ランウェイや雑誌でみる大人のQを封印したかのように彼女は子供であった。
『まぁ、3人とも気が向いたらオーディション受けてみてよ!』
彼女はそう言いながらロジャーに首根っこを捕まれ引き摺られて行った。あーあ。白い服が台無しだ。
そして彼女とロジャーが話す声が聞こえた。
『流石Lの後継者である』と。
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作者名:あまね | 作成日時:2021年11月10日 13時