この朽ちた世界の果てに 【雪男】

怒らせた制裁を （fk） ページ37

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深「阿部、どういう事か説明してくれる？」




Aが連れされたあと、すぐに助けに行きたい気持ちを抑えて空き教室に移動した。

阿部とは高校卒業以来か。




岩「ていうか、医者になってんのかと思ってた」



そう言えば阿部の家は病院で、俺の嫁(当時は彼女)の入院先でもあったんだよな。



阿「あ、うん。病院は弟が継いでるよ。それと何から話せばいいのかな…」

深「さっきのは何？」



どう見ても正常な人間がする事とは思えない。


生贄ってなんだよ。




阿「みんなも知っての通り、人間が何かによって突然変異を起こしたじゃん」

佐「ゾンビ〜」

阿「あ、うんゾンビね。あの日も授業中で、突然の地震のあと何があったか情報を得るために生徒達には安全を考えて校庭に避難させたんだ」




あー、なんとなく予想がつく。

阿部は所々破れたスラックスを握り締めて悔しげに表情を歪ませた。





阿「職員室でテレビをつけてみても砂嵐ばかりで何一つ情報は得られなくて、そのうち校庭から悲鳴があがった」




全生徒と生徒を纏めるための教員が数名、外から押し寄せたゾンビに瞬く間にやられたそうで、阿部は非現実的なその光景に足が竦み身を隠すことしか出来なかったそうだ。


情けないと唇を噛んだ阿部の手を佐久間がソッと握りしめる。




佐「阿部ちゃんが悪いわけじゃねぇよ。誰だってあんなの見て正常でいられるはずないもん」

阿「ありがとう。その時に一緒に隠れてたのがあの先生で。生徒達が次々襲われるのを見て気が狂ったように生贄がって」



宗教団体かつうの。





深「壊れたわけか。わからんでもねぇけど、Aは助けなきゃね」

佐「当たり前だ！」

岩「でも何処に隠れてんの？ 阿部分かる？」

阿「多分、化学室じゃないかな。あの人理科の先生だから鍵も彼が持ってる」

深「だったら乗り込んでやろーじゃん」





女の子には優しくするもんよ？

て、教えてやんねーとね。






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