この朽ちた世界の果てに 【雪男】

世界の終わり ページ1

＊



気が付けば周りは荒れ果てていた。


ビルは崩壊し煙が上がり、車がひっくり返って物が至る所に散乱している。




｢っ…ど、どうなってんの？｣



確か私は仕事中でお得意さまにお花を届けに行く途中だったはず。


急にもの凄い音と揺れに襲われたと思えば____その後の記憶が一切なかった。




私が乗っていた自転車を起こし、道路に散らばった花束だったものを集めだした。


あーあ、可哀想なことしちゃった。



｢……そういえば他の人は何処にいるんだろう？｣




見渡す限り人がいる気配はない。


この大都会東京で、人がいないってどういうこと？


｢はっ！？ もしかして避難所とか出来たのかな？｣


私置いてけぼり？

道端で倒れてる女を見捨てて避難されましたか。
世の中薄情な人ばかりだわ。




｢…ｳﾞｩｩ……ァァァ…｣


｢ん？｣



犬の唸り声のような、苦しでいるような篭った声がした。


よく見ると瓦礫の下に誰かいる！？



｢え？ だっ、大丈夫ですか！？｣



ぐったりとしたその人は頭から血を流し、下半身が瓦礫に挟まっていて動けないらしい。


咄嗟に瓦礫を退かそうと持ち上げようとするけど、女ひとりで持ち上がるはずがないくらい重い。




｢ど、どうしよっ。誰か、誰か居ませんかっ？ ｣


早く助けてあげなきゃ、と人を呼んで来ようと立ち上がった時、


ガシッと足首を掴まれてバランスを崩した。



｢いたっ…！｣


盛大に尻もちをついて、足首を掴んだ人物を見て……何も言えなくなった。



｢ｶﾞｱｧｯ……ｱｳｳ……｣



さっきは見えなかったけど、隠れていた顔の半分が潰れて……眼球が飛び出している男性が大きな口から涎を垂らしていた。



｢ひっ！ な、何この人！？｣



その前に人なのだろうか？




｢……ガアアアッ…｣

｢いやっ……たすっ｣



その男性は私の足首に噛み付こうとしているようで、逃げようとするけど力が抜けて動けない。


や、やだっ誰か助けてっ！！



そう願って目を閉じた時_______





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