君に Lock on！―2―

すぐ側にいるのに遠い ページ31

佐久間side




仕事が終わって、今日はこのあとAちゃんの家に行くか、いやでも最近気まづいから行きにくい、でも会いたいし。


なんて楽屋の中をウロウロしてたら、鞄の中の携帯が音を奏でた。




｢もしもーし、こちら彷徨える子羊の佐久間さんです。どうぞ？｣

｢……あ、うん。俺だけど、今夜って暇？｣



学生時代の友人からスルーされる佐久間。



｢…今夜なんかあんの？｣


｢今日な昔の仲間で忘年会するからさ、もし顔だせそうなら出せよって思って！｣


｢そうなの？ うーん、じゃあ行こうかな？｣



とくに予定があるわけでもないし、多分Aちゃんは仕事があるだろうから。


その後 通話を切って直ぐに店の名前と住所と時間が送られてきた。


一応Aちゃんに友達と食事に行ってくるねってメッセージは送って、メンバーに挨拶して楽屋を出た。






・





時間になって指定された居酒屋に入れば、既に皆揃ってたみたいですでに始まってた。



｢佐久間きたし、もう一回乾杯しよーぜ！｣

｢｢かんぱーい！｣｣



それぞれに心境を話したり、俺のことをテレビで観る機会が増えたって言われたり、デビューを祝ってくれる友達に佐久間の気分も上がる。









そこに遅れてやってきた女の子____雪。


最近やたらと連絡してくる、学生時代付き合っていた”元カノ”だ。



｢あ、さっくん来てんじゃん！｣

｢おう、仕事早く終わったんだあ｣


雪とはこの前 オタ友と秋葉原へ行った時に偶然に再会して、半ば強引にランチに付き合って連絡先も交換させられた。



それからほぼ毎日LINEがくるんだけど、佐久間さん律儀に返してまして。

ほらだって女の子には優しくしないとダメでしょ？


佐久間には大事な彼女がいるから まったく好意はない。

だからこそ逆に普通にやり取りしてんだけど、この子はね、多分あるよね？佐久間に好意が。


今もほら腕に絡みついてくる。







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