君に Lock on！―2―

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＊



｢ちなみに俺も大事にするよ｣


｢なにを？｣


｢彼女｣


｢それは素晴らしい｣


｢………ふん｣



頬肘を付いて、あちらの方を向いた翔太。

ありがとう 翔太。


缶コーヒーを有難くもらって、熱いの苦手だからふうふうと息を吹きかける。



｢可愛いね｣


｢…からかわない｣


｢本気なのに。ま、佐久間のそれが”浮気”だとは思わないけど、もしそうだとしたら、いつでも俺が慰めてあげるよ｣


｢………ばーか｣




冗談じゃ済まない。

佐久間に限って 浮気 なんてしない。

そう信じてる。


あれはきっと ただ友達とご飯に行くってだけだよね。



くしゃくしゃと頭を撫でられ、驚いて顔を上げる。



｢笑っててよ。じゃないと俺、本気で奪いにいくよ？｣


｢翔太……｣



そうだった、あまり二人きりにならない方が良かったんだった。


翔太の視線が刺さる。




｢…一つだけ言うとさ、今のこの状況だって佐久間からしたら きっと嫌なんだと思うけど｣



天井と翔太の顔が目の前にあった。


座っている椅子の余った部分に翔太は片膝を乗せて、椅子の背に両腕をつき、私の逃げ場を奪う。



｢…………｣


迫ってくる唇を ジッと見つめた。



｢嫌がるか、照れるか、どっちか反応してよ。無表情って一番傷つくわ｣



八の字眉にして、はあと溜息を漏らすと、翔太は何もせず離れていく。



｢ごめんね｣


｢俺もごめん。俺、行くね｣


｢うん。あ、レッスン頑張って｣


｢ありがとう。Aちゃんもさ、知りたいことから逃げんなよ｣


｢だね。ありがとう、翔太｣




その通りだ。


うじうじするくらいなら佐久間に聞くしかない。



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