年に一度、人生に何度も［N HBD!!］ (ページ6)

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短い歌はあなたの為に２ページ6

もう、私は無理。
そう思って、アドレスが変わったのかは知らない。でも、一か八かで、メールを送る。

『逢ふことも絶えてしなくばなかなかに
身をも心も恨みざらまし』

和くんなら、わかるでしょう？
いつか、和くんが言った言葉。
ベッドの中で言った言葉。

和くんも私も。
あの頃は、同じ気持ちだったんだ。

でも、私は、もう待てないかもしれない。
もしかしたら、自分でも知らない間に私は命を絶ってしまうかもしれない。
苦しさと、恨みと、自己嫌悪で吐きそうになる。

ピコッと、携帯が光る。
ああ、和くんだ。
2年ぶりなのに、2年経っても覚えてるこの光。
メールを見る。

『わびぬれば今はたおなじ難波なる
身を尽くしても逢はむとぞ想ふ』

ああ、なんて酷い人なのだろう。
残酷な人。

会うことに、再会することに、私の意思はそこにはなかったのを思い出した。
責任を取ってくれると、彼は言ったの。

じゃあ、私はあなたのいいなりなる。
君主と下僕。それでいい。
それがいい。

ささっと、メールを打って送る。

『君がため惜しからざりし命さへ
長くもがなと思ひけるかな』

がちゃっと、随分聞きなれた足音で、玄関が開く音がした。

それはいうまでもなく。