年に一度、人生に何度も［N HBD!!］ (ページ5)

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短い歌はあなたの為に１ページ5

「いつか、ずっと一緒に居られる時が来るまで待っててくれる？」

あの人は言った。

「私は、あなた以外を好きになれなくなったの。
あなたのせいでしょう？」

「はは、責任とらないとね」

「とってよ、絶対」

「…だね、絶対帰って来るよ」

悲しそうな笑みを浮かべて、
ばたん、とドアが閉まる。

最後の夜。
私たちの別れは残酷なものだった。

「うう、」
嗚咽が漏れる。
涙は出ない、嗚咽だけが鳴り響く。
私の涙を代弁したかのように、春雨が降る。

……あの人、傘は持って行ったのかしら。
ただ、あの、憎ったらしいほど好きだった、彼の顔を思い出しては、嗚咽を漏らす。

そんな日々が、ずっと続いた。
もう、何年？
いや、もしかしたら、もっと、もっと。
気づいていないだけで、何十年も経っているかもしれない。

カレンダーを見る。
あの人が出て行ってから、まだ、2年しか経ってなかった。

絶句。

私は、あの日から、2年しか生きてない。
なのに、もう、無理だ。
体が、心が、あなたがいない日々を送るのを拒否する。

もう、2年も待ったの。
そろそろ、忘れてもいいでしょう？
あなただってきっと、忘れているはず。

そう思うと、また、嗚咽が漏れた。
ただただ、息ができない。

このまま死んでしまえばいいのに。
そしたら、もう苦しまなくて済む？
教えてよ。

……ね、和くん。