swlming４ ページ30
「失礼しまーす」
「汚いですが、どうぞ」
扉が開かれたそこは、ふわふわってわけでもないし、きっちりしてる感じでもない。
なんていうの？カジュアルなんだけど女の子って感じ。
「そこ座っててくださいー、ビールでいいですか？」
「いーよ、ありがと」
バタバタと準備して、缶ビール二つ握りしめて、おれに渡す。
ビールなんて別にいらねーけど、とりあえず開けてのむ。
そしたら、おれを見てビールを開けて飲み始めた。
ずっと黙ってるもんだから、おれから話しかける。
「ね、なんかあるの？」
「なにがですか？」
口につけてたビールを、コトン、と置いておれを見る。目がうるうるしてる。
「いや、おれ呼んだのってなんかあるのかなーって、おもっただけ」
「あぁ……」
「ん？相談？」
「……」
「そういう訳じゃなさそう、いえない？」
こくん、頷く。
わ、目が涙目。
Aちゃん、わかりやすすぎる。
おれのこと好きなんでしょ？
目が饒舌すぎる。
「Aちゃん、こっちおいでよ」
ぽんぽんって、自分ちみたいに隣を叩く。
「え、いや……」
「いや？」
「そういうわけじゃ…」
「おいでよ」
顎に手を当てて、考えるポーズ。
ああもう！
ビールを飲み干して、おれから行く。
隣に座ってて、頭を撫でる。
……あ、ここは夢で見たかも。
相手はAちゃんだったのかぁ。
どーせ、クソ女だと、てっきり！
頭撫でてる自分、きもちわる、とか思ってて頭から飛んでた。あぶねー。
よくやったぞ、おれ。
この後は。
Aちゃんが、ごろーんって懐いてきて？
「二宮さん、好きです」
とか言っちゃって。
「おれも」
って言って、お風呂入りなよ。
で、Aちゃんを抱く、と。
はぁー、おれ幸せ。
もう、Aちゃんは俺のもの。
まさか、両思いだったなんてね。
Aちゃんをみると、恥ずかしそうに、にこっと笑う。
明日も仕事だけど、こんなん朝飯前。
朝飯前は言い過ぎた。
これのこと思い出して仕事捗らなかったらどーするつもり？
温もりを感じながら、目を閉じる。
また、今日も明日の夢を見る。
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作者名：緩雨 | 作成日時：2017年6月12日 19時
