swlming２ ページ28
この力が身についたのは、高校生の時。
初めて彼女が出来る夢を見た。
夢だけど、すっげ嬉しくて、良い目覚めで学校に行ったら、夢で見た通りに告白され、付き合った。
わ、正夢って本当にあるんだー
って程度にしか思ってなかったんだけど。
次の日も、次の日も。
夢を見たら、良いことでも悪いことでも、それが現実になる。
所謂、おれは、予知能力を手に入れたわけで。
高校と大学になるまでは、次の日起こることが夢に出てくるんだけど、社会人になってから酷くなった。
結構先の夢も、ばぁー、って流れてくるようになった。
そして、今週の日曜日、こんな夢を見た。
会社で働いてから、気になっていたのに、一回も夢に出てこなかった、あの子が。
おれとペアになって、いじめられちゃうっていう夢。
あ。
あと、さっきの転ぶっていうのもその時に。
これは、チャンスだ。
と、誰かは知らないけど、言われてる気がした。
あの子の心をいただいちゃうチャンスね。
なんて、ね。返事してみる。
とりあえず、夢で起こった事は全部やった。
明日を待つのみ。
ああ、楽しみだなぁ。
憂鬱だった日々が、一瞬で終わる予感しかしない。
最高。
ちょっとルンルンしながら会社を出ると、声をかけられた。
「二宮さん、……あの一緒に飲みに行きませんか？」
わ、同じ課の………名前なんだっけ？
カミサカサン？カミサワサン？
どーでもいいや。
いつも通り、ごめんねーって言おうとした。
ら、ね。
女の後ろに、あの子がいる。
それも？
なんだか、おれの次にいけてるメンズと、仲良さげに歩いてるし。
ナニアレ。
夢に出てきてないけど。
彼氏いたなんて知らないんだけど！
あ、女放っておいてた、と思って見てみたら。
断ろうとしてた女が、あひる口でこっちを見てて、吐き気。
……なんか、心をいただいちゃうなんて馬鹿らしくなってきた。
「いいよ、行こっか」
女の手を握った。
あの子が、ちょっとこっちを見てた。
なんてのは、気がするだけ。
ううん、目があった。
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作者名：緩雨 | 作成日時：2017年6月12日 19時
