年に一度、人生に何度も［N HBD!!］ (ページ19)

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二人なら２ページ19

「私も」
「明日もいらない、こんな、おれたちが結ばれないような世界もいらない」
「うん、和也くんだけでいい」

私たちのタイムリミットは、烏兎匆匆と近づいてきている。
なのに。
二人だけの空間は、ゆっくりしていて心地好い。

それは、自分がどんなに和也くんが好きなのかを証明する。

「どうしよっか」
「何が？」
「どうやって死ぬ？」
「あぁ…」
「一緒に死ぬ？」
「…私は、ね？」
「うん」
「和也くんより、先に死にたいな」
「え？」
「殺されるぐらい愛されてみたかったから」
「あぁ、言ってたね」

和也くんが、少し考えて、はっとする。

「もしかして、……おれに？」
「うん…」
「……そっか、じゃあいいよ」

ぐい、と手を引っ張って抱き寄せられる。
何も云わないで、そのまま。
私も腰に手を回す。

「もし、あの世で逢えなかった時に、和也くんに殺されたー！って笑えそう」
「そうだね。じゃあ、おれはAを殺したっていう十字架を背負って生きていくわ」
「…死んでるのに？」
「そうだった」

ふふふ、と二人で笑い合う。

「最期の最後に天然でちゃったね」
「Aは最期の最後までうるさいね」
「でも、そこが好きだったでしょ？」

うーん、と首をひねる。

「愛してたかな」

ぽとん、と心に水滴が落ちた気がした。