年に一度、人生に何度も［N HBD!!］ (ページ14)

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キズ１ページ14

世の中の全てを遮断した。

テレビ、携帯はもちろんのこと。
友達も、家族も、街も、別れも、出会いも、感情も、全部。

全部全部全部全部。

そんなものも、いらない。

あなたがいなくなった世界に、
あなた以外に何を求めればいいの？

五臓六腑とこの身体が、あなたの愛を憶えている。
そして、今、痛み始める。

「おれのこと好き？」

「……うん、好き」

「おれも好き」

「自分のこと？」

「お前のこと」

好きだけで、繋がると思った。
二つのバラバラだった人生を、繋げると思った。

あなたさえいれば、生きていける。

でも。

生きる意味を無くした今。

どうすればいい？

どう生きればいい？
どう叫べばいい？
どう泣けばいい？
どう自分を殺せばいいの？

分からない、分からないよ。

助けて。

この三文字が口に出せずに、頭の中で回り続ける。

涙と嗚咽と一緒に、魂も出ていく。
これっきり。

涙を流すのはこれっきり。

だから。

……いらない。
涙も、いらないや。

全部ここで流れ切ってしまえ。

私から殺される前に、瞳から逃げ出し頬を伝う。

でも。
あなたがいなくなる以上の悲しみはきっと、無い。

あなたがいない世界なんて、無に等しい。

意味なんて、無いんだよ。