わたしの全部を、あなたに。［S］ (ページ6)

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5 妖艶ページ6

さすがに、3秒では無理だったけど。
急いで成績表を持ってくる。
喘息もちっていうのもあってちょっと苦しい。
肩で息をしながら、櫻井先生に成績表を渡す。

「ありがと、…え？そんな疲れる？」
「喘息持ちで……」
「この距離もむり？」
「櫻井先生が、3秒っていうから急いだんです！」
「え？俺のせい？」
は！って鼻で笑うような笑い方をして、
眉を顰めて、成績表見る。

どこに座ろうか右往左往してると、こっちくれば？って言われたから、一応、謙遜をしながら座る。

「あー、ほらやっぱ頭いい。……あ、古典が一番いい。古典好きなの？」
「好きです！でも、漢文の訓読文を読むのがちょっと苦手です」
「え？そうなの？」
「はい、レ点とか一二点とか……」
「あれは、慣れだからね。俺も苦手だったけど、いっぱい問題解けばできるから、古典はもう眼中にないも同然。と」
また、メモにさらっと書く。

どういうこと書いてんだろう？
ちょっと、腕に力を入れて腰を上げて見る。

刹那、ば！っとメモを遠ざけられて妖艶な笑顔で睨まれる。

「なに？」
「…いえ、なんて書いてんだろうなって思って」
「好奇心旺盛なのは嫌いじゃない」
「ありがとうございます……？」
「え、感謝されちゃった！」
息を吐き出すように、は！と笑って、また成績に目を落とす。

顰めていた眉を、もっと顰ませたと思ったら、口を開く。

「学校に友達いる？」