わたしの全部を、あなたに。［S］ (ページ43)

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42 秘密は教えないページ43

「殺されるかもね」

そう言って、またビールを飲んだ。
それをテーブルに置いたのを見て、私も置く。

「…先生に、ですか？」
「俺？」
あはは、なんで！
先生が言う。

「一番やりかねないと言いますか、今近くにいるし……」
「……んだよそれ。助けてやってんのにこっちは…はぁ」
先生が口を尖らせて、天井を仰ぐ。
あ。ちょっと可愛い。

「え？」
「助けてやってるって言うか、お互いをお互いが助け合ってると言うか」
「どういう意味かさっぱり……」
「詳しくは言えないんだけどね」
「……それ！」
少し声を張り上げる。
え？なに？って顔。

「それ、なんですか？この前も言ってました」
「だから教えてあげれないんだってば」
教えてあげれないことってなに？
しつこく聞いても頑固だからこれ以上絶対言わないだろうな。
観念。

「……じゃあ、あまり聞きません」
「そうして」
「でも一つだけ、質問していいですか？」
「…答えられるののみね」
「相葉くんは教えてあげられないことに関係してますか？」
「……」
「答えられない？」
「関係してるよ」
まっすぐ、目を見る。

「……どういう」
「それは駄目」
口に人差し指を当てて、秘密、ってポーズ。
指を崩してビールを飲む。
私もミルクティーを飲む。

はぁ、と二人で息をつく。
でもね、と先生が口を開く。

「一つだけ言える、……っていうか警告？気をつけろよっていう。お前に身の危険があったら元も子もないから言っとくとね」
「はい」

「相葉は信用できないよ」
ミルクティーをまた飲んだ。