わたしの全部を、あなたに。［S］ (ページ35)

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34 ミラージュページ35

あのごめんね、の意味が何だったのか。
分からないまま帰路につく。

3回ぐらい、改めて聞いてみたけど、全部素通り。
昨日までは、声が小さくてたまに先生に注意される私の声を、ちゃんと研ぎ澄まして聞いてくれてたのに。
あの優しい相葉くんは、いなかった。

そういえば。先生が言ってたっけ。

「家族に見捨てられ、中学の時に友達にも見捨てられ？唯一の心の拠り所が、相葉くんだった」

「でも、ざんねーん！お前は独りなんだよ」

あれは、何だ。
何の暗示？

お前は独り。
ああ、そうだ、私は、いつも独りだった。

心の拠り所が相葉くんだった。
相葉くんだけだった。
でも、今日、相葉くんがいなくなって、
独りになった。

これは。
先生からの、予言？忠告？

いや、私への、宣戦布告？
昨日言っていた、お前を壊す、の合図。

最初に、先生が相葉くんを壊した。
でも、こんな短時間に、どうやって。

……人に信頼を失わせる方法は？
どちらかに悪い噂を吹き込む。

疑心と嫌悪と不安と悲しみが、
心の中でぐるぐる回る。

目の前が、真っ白になった。
吐き気がして、目眩がする。
耐えきれず、近くの建物に寄りかかる。

「……大丈夫？」

相葉くん？

顔をあげる。
そこには、相葉くんなんていなくて、心配そうに見ている先生がいた。