わたしの全部を、あなたに。［S］ (ページ28)

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27 紫の上は？ページ28

「はぁ？」
口から勝手に心の声が！

「反抗期か？」
「あ、いや……、違います」
「いいか？反抗期っていうのは、第一と第二があるんだ。第一反抗期が４,５歳の時に自我の発達を求める時に反抗する。第二反抗期が思春期に自我の独立を求める時に反抗する、謂わば」

ああ、なんだ、うざい！
饒舌になりかけた先生を止める。
「先生！」
「…なに？反抗期の論文まだあるんだけど」
「軌道がずれまくってる気がします」
びっくりしたように目を丸くさせて、鼻で笑う。
本当だ、って言ってる。

多分、この人は、知識欲が半端じゃない。
それをインプットしたらアウトプットせずにはいられない人だ。
稀にいる、めんどくさいやつ。
要するに、私の嫌いなタイプ。

「あの、先生の話、全然読めないんですけど」
「あ、あぁ。俺と付き合って、経験するべき。そして、人間関係のメリット、デメリットを見つけて本命と付き合ったほうがよくね？」
「でも、だからって先生と付き合うのは！」
「あのね、教えてやるよ」

私の質問を切断して、先生が天井を仰ぐ。

「そうだな、源氏物語を例に取ろう」
「え？」
興味を唆られる。

「紫の上、Aなら知ってるだろ？」
「源氏に幼少期から育てられた人ですよね？」
「そう、自分の好みにね」

先生がいきいきしながら話してる。
楽しそう。