わたしの全部を、あなたに。［S］ (ページ25)

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24 操られるページ25

ふ、と鼻で笑ったら、先生が口を開く。

「なに、彼氏？」
「いや、違います！」
「彼氏じゃないのに、家知ってんの？」
「…え？」
「家の近くに来たことがあるか、家にあげたことがあるか」
「……」
相葉くんの顔を見る。

確かに、いっつも一緒に帰ってたけど、いっつも家から離れたところの交差点でお別れ。
家は知らないはずだし、私も相葉くんの家は知らない。

「友達に教えてもらっちゃった！ごめんね？」
「…ああ、そうだよね！わざわざありがとう！」
一瞬、本当に一瞬だけ、相葉くんのことを疑っちゃった。
ごめんなさい！
心の中で謝罪する。

「本当かなぁ」
腕を組んで、わざとらしい嫌悪感。
なに、それ。

「あの！相葉くんは、そんなことしないです！」
「…へぇ？じゃ、早く部屋戻ろ」
「はい…、相葉くん、ありがとうね」
相葉くんの顔を見ると、絶句。

笑顔が、消え落ちてる。
肩に力がこもる。

「相葉くん…？」
まるで、先生を恨んでるかのような視線。
私の呼びかけでハッとして、いつもの笑顔に戻る。

「あ、うん！明日ね」
「じゃあね」
「早く！続きするよ！」
先生がまた大声で言う。

相葉くんがは、っとした様子で振り返って、
「その人、だれ？」
「え？」
家庭教師だよ、と言おうとしたら先生が遮る。

「君が思ってるような関係でいいんじゃない？」
「…は？」
「外様は、黙っててね。さようなら」
がん、とドアを閉めて鍵をする。
肩を前からがしっと掴まれて、反対側に向かせられる。

「はい！いくよ！」
「ちょっと！」
凄いスピードで押される。

これが、核心を突かれた序章だと知らずに、先生に操られるように、歩き始める。