わたしの全部を、あなたに。［S］ (ページ16)

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15 勘違いページ16

あれ、これってどういう意味？

……勘違いしちゃいけない！
きっと、そこそこ仲のいいひとがいたら楽しいだろうってこと。
あぶない、勘違いするところだった！

「ねえ、一緒になろっか！図書委員！」
「え！いいの？」
「うん！やろ！」
「うん！」

そう、約束して委員会決めのとき。
さきに、相葉くんのクラスが決めちゃったから
「相葉くん、図書委員らしいよ！」
と、噂が広まって、図書委員の倍率はそれは酷いぐらい高くって。

「私！相葉くんと約束してます！」
なんて、言いたかったけど言ったら女子の目が無関心から敵意に変わるなぁ、と思って言えず。
いつもだったら、即座に譲るけど、うざいぐらい粘って、図書委員の称号を手に入れた。

やったあ！！って心で叫んで、相葉くんにメール。
『図書委員になったよ！』
すると、すぐ返事が返ってきた。

『本当？やった！部活ない日とか一緒に帰ろうね！』
と、また勘違いしそうなメール。
社交辞令的な感じなのかも知れないと、思ったけど、本当に一緒に帰ってくれた。

だから、委員会の日は私にとって大切な時間。
過言かもしれないけど、砂漠の中のオアシス並みに大切で、楽しみだった。

……なのに、家庭教師によってオアシスが壊されようとしてる。
いや、壊された。

HR後、はぁ、と大きいため息をついて、先生のところに向かう。

「先生、今日用事があるので、早退します」
「早退？わかった、委員会の先生にも言えよ」
「はい」

家庭教師をさぼる、という選択肢もあったけど。
言えなかったのは、櫻井先生の裏の顔とも言えるものを見てしまったからだろう。