〜簡単じゃないこと〜＊ゆくる＊ ページ35
野坂にとってはキスのおねだりは難しいことではないため、Aが赤くなってる理由がイマイチ分かっていない様子。
それを察したのか、Aは野坂に怒る。
『も、もう！私がこうやって自分から言うのがどれだけ大変か分かってよ…』
｢そんなこと言わなくたっていつでもしてあげるよ？今じゃなければ｣
いつでも余裕な野坂。本当は余裕じゃなくても、余裕があるように見えてしまう。
｢…でも今すぐしたいくらいだよ、Aが大好きだから｣
まだ熱は少しあるため、優しく抱き寄せる野坂。
まだ眠いのか、何も言わずに野坂にもたれかかり、そのまま寝てしまった。
｢ずっと僕のそばにいてよ…？｣
なぜか弱気になった野坂。これには理由があった。さっき寝ていた時、夢を見たから。
ケンカをしたわけでもないのに、Aがハルヤといる夢。
それは自分といるよりもずっと楽しげで、自分なんか見えてない、そんな夢だったのだ。ごく短い時間で目は覚めたのだが、ずっと忘れられないでいた。
｢(いつ本当になるか分からない。Aが離れるのが怖い…)｣
いつもの野坂からは考えられないくらいの落ち込み具合。これをAが見たら、たちまち心配するが、こんなこと言えるはずがなかった。
野坂自身もいつの間にか寝てしまい、気づけばAは起きていた。
『あ、悠馬。もうすぐ夕食の時間だって。準備しよ』
こんな風にいつも通りなAが見れるのは嬉しいが、どうしても夢を意識してしまう。
『…悠馬、何かあった？』
｢何もないよ…｣
『もしかして、熱があがった？』
Aが優しくする度に苦しく感じる。野坂は自分をコントロールできないような気がしていた。
『悠馬、話してよ。何かあったんでしょ』
いつになく真剣な表情をされ、正直に話す野坂。
｢Aには笑われるかもしれないけど…
さっき夢を見て、その夢が辛くて…｣
『どんなの？』
｢Aが…ハルヤくんと一緒にいる夢｣
それがどうした、って言われる覚悟で言った野坂。Aと同じく、余裕を持って言えることではない。
｢悠馬、夢なんて気にしないで｣
だが、Aは聞いてくれた。そして励ましも。
『私は悠馬と一緒にいるのがいい。
ハルヤくんはもちろん、他の誰でもなく、悠馬が好きだよ』
こんなことを言ってくれるとは思っていなかった。野坂は本当に嬉しく思い、Aを抱きしめた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 25人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
神月 - ゆくるさん» 愛知………愛知もいいと思いますよ! (2019年3月15日 7時) (
レス) id: 941209d91a (このIDを非表示/違反報告)
ゆくる(プロフ) - 神月さん» 愛知です！この先の市とかは流石に言えないですが、東京いいなー！です。でんでんはすごいですからねー！ (2019年3月15日 4時) (レス) id: 65c6a6a18f (このIDを非表示/違反報告)
神月 - ん、……東京じゃないんですか?てっきり東京に住んでるのかと思ってました……あ、あと 小説見ました！！やっぱり面白いです (2019年3月11日 16時) (レス) id: 941209d91a (このIDを非表示/違反報告)
ゆくる(プロフ) - 神月さん» ははは（笑）東京に行ってなりたいなーとおもってます！ (2019年3月11日 16時) (レス) id: 65c6a6a18f (このIDを非表示/違反報告)
神月 - ゆくるさん» パティシエ！なるほど……もし、夢がかなったら食べに行きます! (2019年3月10日 9時) (レス) id: 941209d91a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
