個室にて ページ11
これ以降の話には途切れ途切れのメモしかないのでやる気ない文章になるかもしれないです。
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「それじゃあ、私はこれで。」
ぱたりと扉が閉じる。彼に連れられてたどり着いた先は個室。大きなベッドに小さな鏡。ふかふかそうなソファに小さな机。
通ってきた廊下と比べると、こじんまりとしていて古めかしいその部屋に、少しだけ既視感を感じた。
『…？』
小さな鏡に青い影がチラついた気がして鏡を凝視する。
「あら、もしかして…ばれてしまったかしら？」
『……！？』
そこにいたのは先程別れたはずの…鏡の中に住んでいるらしい夫人。
『……え、…え？』
「ふふ、面白い顔。」
優雅に笑って、私の方へ向き直った。
「…ねぇ、"吸血鬼"さん。」
『___ッ！？』
心臓が止まるかと思った。
誰にもバレていない。今まで出会った誰しもが私を人間だと信じて疑わなかった。
だから大丈夫。バレてない。私は人だ。今回招待されたのだってどうせ伯爵の気紛れだろう。
そう。そうであるはずなんだ。
「…ら？」
ふと意識が浮上する。
『…..』
「図星…かしら？」
『まさか。私はただの”人間”ですよ。』
「……そう、まぁいいわ。」
興が削がれたとでも言いたげに私を振り返りざまに見、彼女はそのまま鏡の奥のさらに奥の方へ消えていった。
『……はぁ。いつどこで見られてるかわかったもんじゃない…。』
しばらくはボロを出さないようにしよう、と決意した。
…いやでも招待客をゆっくりさせない主催者ってどうなんだ？
続く
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