ー花嫁の憂鬱ー ページ7
そのあとも変わりなく、私たちは歩く
どこまでいくのだろうか
それにすこし彼は周りを気にしているようにも見えた
「…….大丈夫ですか？」
「ん？」
「いえ、焦ってるように見えたので」
なんだか、これでは尋問しているみたいで、後味が悪いから「私にできることなら手伝いますよ」なんて言ってみる
「ああ、大丈夫だよ。ただ……」
ただ？
「今夜はどこに泊まろうかと思って」
「…………もしかして寝るとこがないのですか？」
「大丈夫だよ、いざとなったら近くに公園があるから」
「もしかしなかったですね」
何も大丈夫じゃないし、世ではそれを野宿というのだ
まあ、連れて来てもらった私が言えることじゃないよね
「じゃあ、私も色々探してみますよ。宿屋とか」
「あ、いや。宿屋はむりかな」
「え？」
ちょっと、いやな予感がした
「お金は持ってないんだ」
大当たりだ
「あ、ちょっとあそこを見てくるよ。君はここですこし休んでて」
「はい、わかりました」
何か見つけたのか、彼は小走りで何処かに行ってしまった
しかしこれは大変になった
お金もないのに止めてくれそうな場所なんて、現代でもない
もちろん、明治時代でもそれは同じだろう
しかたない、今夜は野宿かな
初めての野宿にすこしドキドキしてみたりする
野宿って、どんな感じなのだろうか
草の上、それともベンチの上に寝るのかな
すこし寒そうだけどキャンプと変わらないかもしれない
なんて、考えていたのが悪かったのか
ドンッと右肩に強い衝撃が走った
「っ、すみません」
「ん？なんだ」
顔を上げると強面の男性がいた
なんてベタなシテュエーション
とりあえず謝ることが先だよね
「本当にすみません。大丈夫ですか？」
「大丈夫じゃないねえ。これ、何だと思う？」
彼が指差す、左の脇腹には茶色い何か
「……土埃、ですね」
厄介なことになりそうだ
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作者名：Yukki | 作成日時：2015年2月15日 22時
