ー花嫁と別れの時ー ページ24
「そういえば、冬夜君。よかったら今夜一緒に食事でもどうだい？」
「え？」
急な誘いについ反応ができなかった
「なにせ君は春草の友人だからね、これからの春草のためにもぜひ君のことを知っておきたい」
というか、私はいつの間にか菱田君の友人になっていたらしい
いや、それは大いに嬉しいことだが、どうしても彼は鴎外さんに友達がその大観以外にもいるということを証明したいがために私を友人だと彼に紹介したのではないかと思ってしまう
まあ、それでもいいか。もともと現代でも私は友達が多いとは言えなかったのだから、理由はなんだとしてもとても嬉しかった
「それはとてもいいですね、けどすみません。実は師匠に朧時前には帰ってこいと言われてるんで」
「おや、そうなのかい。それは残念だ。ではまた遊びに来なさい。食事はその時にしよう」
「はい、ありがとうございます」
鴎外さん、とてもいい人だ
ふと、部屋にあった柱時計を見ると時刻は４時頃を指していた
外はすこし明るいとはいえ、まだまだ肌寒い時期だ。そろそろ日が沈んでしまうかもしれない
「俺、そろそろ帰ります」
「おや、もう帰ってしまうのかい？」
「ええ、俺ももう少しここに居たいのですが.....」
「まあ、師匠の言いつけならしかたない。さっきも言ったが、君は春草の友人だ。またいつでも来なさい」
「ああ、俺が送りますよ」
「おや、そうかい。ではまたね。冬夜君」
「はい。また今度来るときはもっといろいろなことが話せると嬉しいです」
「ああ、僕も楽しみにしているよ。では、気をつけて帰るんだよ」
「はい、お邪魔しました」
私は鴎外さんと別れ、菱田君とともに屋敷を出た
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作者名：Yukki | 作成日時：2015年2月15日 22時
