[めいこい] ー消えた花嫁ー [明治東亰恋伽] (ページ19)

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ー花嫁と道案内ーページ19

初めて、男の姿で街に出る

変、じゃないかな

やけに周りの目がきになる

神経質になってるのかも

なんとなく落ち着かなくて下を向く

そうすると自然と前髪が垂れて顔が見えにくくなる

うん、こっちのほうがいいかも

ふと、とある道で足が止まる

この先は左だっけ、まっすぐだっけ

そもそもこっちの方面であっているのか？

…...とりあえず聞いてみよう

「すみません」

ふと近くの少年に目が止まった

緑色の髪の綺麗な少年

目があってみると顔も中性的で綺麗な人だった

男の人、だよね

「警視庁はどこですか？」

「警視庁？」

私が警視庁と口にすると彼の眉間にしわがよる

まあ、警視庁と聞いてもいいイメージは浮かばないんだろう

「……この道をまっすぐ行って数奇屋橋を渡って、そのまま報知社の角で左に曲がればありますよ」

数奇屋橋？報知社？

全く知らない名前が出てきた

知らない土地どころか時代が違うのだから

それは当たり前かとは思うのだが、それでは道がわからない

そんな私の様子を見てか彼はもう一つ付け加えた

「有楽町ですよ」

「有楽町？」

私が首を傾げていると彼は信じられないという顔をした

「どこから来たんですか？まさか数奇屋橋どころか有楽町を知らないと？」

どこか棘のある言葉だが、その通りなので頷いた

私はこの時代はおろか現代の東京の土地勘すらないのだ

そんなに有楽町という場所は有名なのだろうか？

名前だけ聞くと、なんとなく華やかな感じだ

そんなのんきなことを考えている私を見て

目の前の少年はため息をついた

「……じゃあ、着いてきてください」

「え？いいの、か？」

危ない、思わず素の口調で答えそうになった

というか、それは警視庁まで案内してくれるということになるのか

「いいですよ。近くまでですけど」

「ありがとう！」

少し気がひけるが、心のどこかでこうなることを期待していた私は素直に嬉しく思った

彼はすこしため息をついてから歩き出した

私は少し遅れて彼と歩き出すのだ